生命理工学系 News
令和元年度第6回(通算第79回)蔵前ゼミ印象記
2019年11月8日、すずかけ台キャンパスJ234講義室にて、
令和元年度第6回蔵前ゼミ(通算第79回)が開催されました。
蔵前ゼミは同窓生による学生・教職員のための講演会です。
日本社会や経済をリードしている先輩が、これから社会に出る大学院生に熱いメッセージを送ります。
卒業後の進路は?実社会が期待する技術者像は?卒業後成功する技術者・研究者とは?など、就職活動(就活)とその後の人生の糧になります。
当日の印象記を、博物館の広瀬茂久特命教授が綴りました。その一部をご紹介します。
大昔の人々は、天国での生活を夢見て厳しい現世を生き抜くしかなかった。文明が進み「衣・食・住」環境が改善されると、私たちは幸せな老後を夢見て定年まで働くようになった。そして近年では「職」環境の向上によって、金政さんが強調していたように、「旬の時期を最高に生きる」ことができるようになった。天国や老後や週末を夢見なくても、リアルタイムで『働ける幸せ』を享受できる時代に私たちは生きているのだ。今回は、“私たちの営みの本質”について深く考えさせられた。リアルタイムというのは金政さんが専門とする Digital Twins & Cyber-Physical Systems のキーワードでもある。
金政さんは20代の頃はお金のかかる趣味に凝っていたので、正直、お金欲しさで残業や休日出勤していたが、これが上司の目には「よく仕事をしてくれる金政君」と映っていたわけだから、お金のために働くのも決して悪いことではない。しかも、お金のための頑張りも、結果的には腕を磨き実力をつけることにつながった。“お金の人でも研究職ならば“お金の人=努力の人”となるので、時々「凄いことをしているのかも」という興奮(研究の醍醐味)が味わえる。40代になって振り返ってみると、いつの間にか、自分が“お金の人”でなくなっていたそうだ。金政さんの経験・見聞を追体験しながら、努力の蓄積がないと何が起こるのか?を見ていこう。
印象記のつづきは以下のPDFよりご覧ください。
金政さんには蔵前工業会神奈川県支部の若手の会(燕翔会)のリーダーをやってもらっています。今日のテーマ「何のために努力するのか? 何のために働くのか?」は本質的な問題に真正面から切り込むもので,パネルディスカッションも盛り上がりました。素直に考えれば,お金はあった方がいいし,大学は出来るだけ有名なところを出た方がいいですね。しかし,お金持ちがすべて幸せでしょうか。努力して得たものでないと満足できません。そういう意味で,人は良くできていますね。皆さん最高の努力をしましょう(Do your best!)。そうすれば結果はどうであれ,悔いは残りません。
今年の4月からIIDP(Innovator and Inventor Development Platform, イノベーション人材養成機構)の特任教授をしています。金政さんは英語では相当努力されたと思います。私は 英語は嫌いではありませんでしたが,好きになったのはMITに10か月滞在してからです。私の分野(強電 power electronics)は10か月程度では成果が出せませんので,ホスト役の教授も「英語を身に着け,いろんな人に会って人脈を作りなさい」というので,英語を意識的に勉強するようになりました。電車に乗れば「広告」を読み,新聞を買って「見出しと書き出し」を辿っているうちに,なんとなく意味が取れるようになり,楽しくなったのです。好きになると上達も早いですね。最初の壁を超えるには継続(努力)しかありません。英語の夢を見るようになればしめたものです。
このような機会を通して,自分の専門分野以外の知識や考え方を身に着け,さらには専門が異なる友人を作ることが大事です。できれば異性の人たちとも話せる機会になるといいのですが,東工大の特徴からして難しいかもしれません。この蔵前ゼミは,私が蔵前工業会 神奈川県支部長の時に,三島さん(当時総合理工学研究科長,後の学長)と広瀬さん(当時生命理工学研究科長)の協力を得てスタートしたものです。それ以来,広瀬さんは『印象記』の執筆に注力してくれています。“就活の友”となるばかりか,“人生の副読本”ともなりますので,是非目を通してください。