生命理工学系 News
令和元年度第4回(通算第77回)蔵前ゼミ印象記
2019年7月19日、すずかけ台キャンパスJ221講義室、及び大岡山S223講義室(遠隔講義室)にて、
令和元年度第4回蔵前ゼミ(通算第77回)が開催されました。
蔵前ゼミは同窓生による学生・教職員のための講演会です。
日本社会や経済をリードしている先輩が、これから社会に出る大学院生に熱いメッセージを送ります。
卒業後の進路は?実社会が期待する技術者像は?卒業後成功する技術者・研究者とは?など、就職活動(就活)とその後の人生の糧になります。
当日の印象記を、博物館の広瀬茂久特命教授が綴りました。その一部をご紹介します。
人生の節目の時に社会が大きく動いた。最初は受験のときで、次は就職を控えた時期だった。パソコンオタクだった遠藤さんは、高校3年の秋まで情報系を目指していた。受験直前に、英国発のニュースが世界を駆け巡った。見出しは“Dolly the Sheep”。このたったの3語が遠藤さんの進路を生命科学へと変えた。クローン羊(ドリー、Dolly)が誕生し、理論的にはクローン人間も可能になったのだから、遠藤さんでなくても衝撃を受けた人は多いだろう。
研究者を目指して、本学の7類経由で、バイオ系の博士課程に進んだ頃に再び大きな動きがあった。ライフサイエンス分野では、ゲノムプロジェクト等が終わって、その後継をどうするかなど、政策主導でアカデミアの研究が大きく左右される時代に入ったのだ(2000年代前半)。遠藤さんは政策を作る側から科学技術に携わるのも、ダイナミズ ムがあって面白そうだと思うようになった。そして、研究の現場を知る“博士”(PhD ホルダー)の強みを生かして、新しい仕組み作りに関わるべく文部科学省に入省した。
当初は、連日、怒涛のように押し寄せてくる「eメール」やA4 一枚で勝負する「ポンチ絵」に戸惑ったそうだが、それ以来14年経過し多くの部署を経験することにより、軸足を理系に置きつつも視野を広げ、行政官として自分が作った政策が“世の中を変えるような研究”の土壌になることを目指して日夜奮闘中だ。大学の人事制度改革で若手を育てたり、1000億円を超える次期スパコン「富岳」の立ち上げに関わったり、大臣政務官の秘書官を務めたりといった遠藤さんの足跡から、技術系行政官の仕事のイメージがよくつかめたに違いない。
印象記のつづきは以下のPDFよりご覧ください。
生きていればいろいろな問題にぶち当たります。悩みながらも最終的には自分で考え自分で解決していくことになるわけです。そんな時に考え方ひとつで人生が大きく変わります。「ダメだこれは」と思うか「次のステージへ進むための試練」ととらえ挑戦するか。もちろん人生ですから、楽しくなければなりません。このゼミでは、社会人としての様々な仕事について学ぶとともに、苦しみながらも問題を解決したときの喜びに触れる機会が多かったと思います。是非参考にしてください。
ご講演とパネルディスカッションを通して、公務員について理解が深まったように感じました。尚、大変だなーと思いましたのは、偉くなる方、官僚は約2年毎に移動で業務が変わるとのお話。2年間で、雑用も多い中、業務に慣れ、アイディアを出し、実行するのは大変なことだと感じました。当然のことですが、非常に高い能力でないと務まりませんね。パネルディスカッションでは、学生に、難問の課題に対して何とか自分なりの回答を絞り出す経験をさせて下さり、深く感謝申し上げます。
A. 安藤さん(交流会の司会者)今回で77回目、切りのいい数字となります。
B. 小倉さん(開会)官僚は法律を作るから、歴史的に、法学部の人が多かったが、これからは、PDで話題になったように、文系人にできることはすべて理系人にもできると思って、行政畑でも大いに活躍してください。
C. 太田さん(生命理工 挨拶)文系が官僚を敬遠しがちな今がチャンスゆえ、理系が文科省だけでなく財務省等にも入って国の政策を担って欲しい。
D. 遠藤さん(乾杯)将来を考える材料を提供できたとすれば幸いです。
E. 錦織さん(閉会)ゼミが12年も続いているのは創設者として感無量です。先輩を活用することとゼミの印象記を読むことを心掛けて下さい。