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The Show Must Go On! 「インプロ(即興演劇)」を学び、文系・理系の垣根を壊す

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2023.02.15

音楽劇「赤毛のアン」終演直後にインタビューに応じてくれたゼミ生のみなさん

音楽劇「赤毛のアン」終演直後にインタビューに応じてくれたゼミ生のみなさん

リベラルアーツ研究院の文系教養科目にはユニークな授業があります。高尾隆教授が担当する「人文学系ゼミ(インプロ/吹奏楽)」もそのひとつ。その中のインプロチームは、学年や経験の有無に関わらず、さまざまなバックグラウンドを持った学生が一堂に会し、幅広く演劇を学んでいます。いったいどのような授業なのでしょうか?ゼミ生に話を聞いてみました。


「インプロ」は、英語で即興を意味する“Improvisation”の略で、一般に「即興演劇」のことを指します。事前の打ち合わせは一切なし、そして台本なしの先のわからない中で、自由な発想力を生かしてストーリーを進めていくパフォーマンスです。


―「インプロ」のゼミを履修した理由を教えてください。


中川倫太郎さん(生命理工学院)

中川倫太郎さん(生命理工学院)「“インプロ”って何だろう? 面白そうだなと思って履修を決めました。演劇経験なしで始めたんですが、今では部活も演劇部に入ってます」

一同「おおーっ」


安武昴さん(工学院)

安武昴さん(工学院)「僕は吹奏楽をやりたいというのがキッカケなんですが、インプロは即興だから経験なしでも始められるし、大学生になって新しいことをやってみたいという気持ちもあり、吹奏楽のゼミとダブルで履修しています。1年生ではめずらしいかも」

―実際に授業を受けてみて、どういう印象ですか?


柿坂笑理さん(生命理工学院)

柿坂笑理さん(生命理工学院)「私は生命系を専攻していて、3年生の今は実験が大変なのですが、高校で演劇やっていたのでやりたくて。この授業はとても楽しく、授業に関わる積極度が上がりました。楽しくやろうは高尾先生のモットーですね」

安武昴さん(工学院)

安武「即興性を身につけるために授業でいろいろなゲームやワークをやるんですが、学年関係なくいろいろな人たちとコミュニケーションをとって仲良くなれる場があります。吹奏楽チームと即興で歌うワークショップを一緒にやって、メッチャ楽しかった」

阿部泰夏さん(環境・社会理工学院)

阿部泰夏さん(環境・社会理工学院)「今回、吹奏楽チームとのコラボで音楽劇『赤毛のアン』を上演するにあたって、演出方法などゼミ生たちで意見を出し合って決めていきました。高尾先生はそういったアイディアをすべて肯定してくれます。“インプロ”の授業は即興がベースだから柔軟にアイディアを取り入れていく感じですね」

中川倫太郎さん(生命理工学院)

中川「普段の会話で『でも』ってよく使いますが、こういった否定的な行為を『ブロッキング』といって、インプロではあまり推奨していません。相手との友好的な関係構築に、一旦すべてを受け入れるのが大切だということを、インプロのワークを通じて改めて学びました。こういったエッセンスは実生活や部活でも役立っています」


演技するなかで自分の可能性を見つける

学生1

学生2


―理系の分野を専攻されている皆さんですが、インプロを学ぶ理由は何でしょうか?


安武昴さん(工学院)

安武「ボクは小説を書いているんですが、実際に自分の身体を使って表現した経験が、人を描写するときにすごく役立っています。あと、専攻を生かして将来はゲーム制作をやりたい。自分の創造性を高めチームワークで作り上げる演技の経験は、そこにも生かされるんじゃないかな? 単純に興味からインプロを履修しましたが、自分がいずれやりたいことにつながっているのに気づきました」

阿部泰夏さん(環境・社会理工学院)

阿部「ボクは工学系の科目はひとつの“ツール”だと思っています。工学的な知識や技術をいかに社会に還元していくかを常に考えています。そのために、まず“人間”をよく見なくてはいけない。芸術は人間を映し出すもので、人間の豊かさを追求していくのが芸術。理系の私たちはその知見を得たうえで、自分たちが持っている技術をどう社会で生かすのか?を追求するのが重要。だから理系人間こそ芸術を学ぶのは必然だと思っています」

柿坂笑理さん(生命理工学院)

柿坂「普通の授業と違って、身体を動かして、自分の中から何かを生み出すということをやる必要がある。即興で会話したりとか。そういった体験がすごく刺激になります」

阿部泰夏さん(環境・社会理工学院)

阿部「この授業での気づきとしては、意外に自分の頭で考えている通りに行動できないってわかったことかな?」

一同「ああー(そうそう)」(笑)


中川倫太郎さん(生命理工学院)

中川「無意識のクセとかね。自分ってこんなことやってるんだー、とか。あと、高校の時は文系と理系の垣根がすごくあった気がするけど、それが良い意味で壊れたのがこの授業での気づきかな。もともと数学専攻だったんだけど、興味が少し変わってきてます」


―最後に、これから学びたいことを教えてください


柿坂笑理さん(生命理工学院)

柿坂「今はとても満足しているので、もっと授業の時間が増えたらいいですね」

安武昴さん(工学院)

安武「インプロのゲームやワークを通じて、自分ができることや得意なことに気づくことがあるんですが、これからもたくさん見つけていきたい。あとは、即興性をもっと身に付けてトランペットの演奏にも生かしたいですね」

阿部泰夏さん(環境・社会理工学院)

阿部「“守破離(しゅはり)”っていう言葉がありますが、最初はインプロについて先生に教わるだけだったけど、これからはもっとアウトプットを増やしたい。新しいゲームを教わったらさらにアイディアを出してワークを提案していくとか。少しずつでも新しいことを創り出していけるよう、これからの自分に期待していきたいですね」

中川倫太郎さん(生命理工学院)

中川「ボクは学ぶというより、インプロで学んだことをどんどん広めていきたい。インプロはまだ知名度が低いところがあるけど、もっと高めていけたらなーと」


一同「おおーっ」


―皆さん、今日はありがとうございました


インプロと吹奏楽のコラボ企画、音楽劇「赤毛のアン」を上演

インプロと吹奏楽のコラボ企画

2022年12月26日に、インプロチームと吹奏楽チームのコラボ企画として音楽劇「赤毛のアン」が上演されました。「音楽劇をやりたい」という学生たちの希望がかない、オリジナルの演劇組曲による公演となりました。出演者全員がアンを演じるという斬新なアイディアを取り入れ、短い練習時間に四苦八苦しながらも、学生たちは生き生きと演じ切りました。



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