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東京工業大学は伊賀健一名誉教授・元学長に、11月25日付で栄誉教授の称号記が授与し、益一哉学長が栄誉教授の称号記を伊賀名誉教授に贈りました。
栄誉教授の称号は、本学教授、退職者、学士課程の卒業生、大学院修了生のうち、ノーベル賞や文化勲章、文化功労者、日本学士院賞など教育研究活動の功績をたたえる賞もしくは顕彰を受けた者に対して学長が付与することができるとされています。栄誉教授の制度は2011年に制定され、伊賀栄誉教授は14人目となります。
伊賀栄誉教授は、携帯端末の顔認証などに応用されている「面発光レーザー(VCSEL)」の発明により、光工学分野の発展へ貢献したとして11月3日に文部科学省から令和4年度文化功労者に選出されています。
東京工業大学栄誉教授の称号を授与されたのは身に余る光栄と共に不思議な縁を感じています。といいますのは、私が学長の時代に台湾交通大学から栄誉教授の称号をいただき、東京大学や大阪大学が大きな表彰を受けた方々に特別栄誉教授の称号を授与していることも刺激となり、この栄誉教授の称号を授与する制度を作りました。またちょうどその頃、本学創立130周年になるのを記念する事業の一つとも考えました。この制度で意図したことは、優れた業績を挙げた方々に栄誉教授の称号を差し上げ、その称号をもって講演や著作により本学の名声を一層高めていただきたいということでした。
大隅良典栄誉教授がノーベル生理学・医学賞を、また末松安晴栄誉教授と細野秀雄栄誉教授が日本国際賞を受賞し、引き続き研究や教育の推進や助成に貢献されていることは、制度を作った側として大変嬉しいことでした。
その嬉しい気持ちと同時に、世界の国々では名誉教授の優れた業績が大学の評価に積み上げられている一方、定年制のある日本ではそうではないことを考えました。なんとか、その問題を解決したいという気持ちがこの制度を作るきっかけとなりました。
この制度をさらに発展させることは私の学長の任期内では叶いませんでした。ただ、現在では柔軟に継続して研究が可能な状況が作り出されているので、実現されて来たとも考えられます。世界と闘うために、より一層新しい試みに発展することを願います。これからも、東京工業大学の発展と名誉のために尽くす所存です。