電気電子系 News
再エネ風力発電で海底ケーブルの直流送電がカギとなる仕組み
東京工業大学は、環境、情報、電気、生命科学など、幅広い分野で最先端の研究に取り組み、研究内容を動画で紹介しています。テニュアトラック教員である工学院の佐野憲一朗助教(電気電子コース 主担当)は、海上で風力によって発電された電力を長距離の海底ケーブルを通して電力生産地から需要地へ安定供給するための直流送電システムを研究開発しています。研究の様子や洋上風力発電の可能性や課題をまとめた動画を公開しました。(再生時間約4分)
2020年10月、日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。日本は、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料を海外から輸入して主なエネルギー源としています。今後、太陽光発電や、風力発電などの自然環境を活かした再生可能エネルギーを大規模導入することができれば、カーボンニュートラルに大きく貢献できます。しかしながら、その導入には一般的によく知られている課題である発電コストの削減の他に、偏在する発電エリアから需要エリアへ向けて長距離の送電を行うための課題解決が求められています。
佐野テニュアトラック助教は、長距離送電における直流送電方式に着目しています。直流を用いることで長距離の海底ケーブル送電を効率よく行うことが可能となり、設備コストも低く抑えることができるため洋上風力の大規模導入において大きなメリットがあります。 一方、陸上の送電では交流送電方式が普及しており、私たちが通常使用している電力もこの方式で送られています。この交流による既存の送電ネットワークを活かしつつ、直流方式による海底ケーブル送電を組み合せ、再生可能エネルギーに適した広域な送電ネットワークシステムを構築することが期待されます。この研究で、故障の連鎖による停電を発生させない信頼性の高い直流・交流の電力供給システムづくりを目指し、再生可能エネルギーの普及に貢献しようとしています。
※ 2023年4月28日 16:15 当記事の英文記事を公開し、リンクを追加しました。