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簡単な電流でスイッチドリラクタンスモータの騒音を大幅低減に成功!

IEEE Transactions on Industry Applicationsに論文掲載

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2016.10.26

要点

  • 騒音が問題となるスイッチドリラクタンスモータの騒音を電流制御で解決。
  • 電流指令値は従来より簡単な低い次数の高調波で構成。
  • 実験では-15 dB以上の大幅な騒音の低減に成功!

概要

この論文では、スイッチドリラクタンスモータの騒音低減方法が提案されている。低速、低トルクで有効な方法で有り、新しく簡単な電流波形が提案されている。半径方向力の三相の和をフラットにする原理が適用されている。三相の和が脈動すると振動、騒音が発生するので、フラットになる様に電流波形を工夫している。簡単な電流波形が提案され、電流の立ち上がりが緩やかである特長があり、電流制御が簡単になり、さらに、電流実効値が低減でき、効率も良く、トルクリプルも小さい。さらに進んだ電流制御方法が適用され、実験では、騒音の大幅な低減が確認された。

研究の背景

ハイブリッド自動車、燃料電池車、電気自動車などでは小型、軽量、高効率、高トルク、広い動作範囲を持つモータが適用されている。現在、レアアース永久磁石を利用したモータが適用されているが、永久磁石のコストが高く、また、永久磁石の動作温度が低い問題点がある。このような状況下で、スイッチドリラクタンスモータはレアアース磁石が不要で、コストが低く、動作温度が広い特長がある。さらに、磁石モータと同等の効率、トルク密度、1.6倍の出力が実現できることが明らかにされている。残る課題はいかにして騒音を低減するかが問題である。

スイッチドリラクタンスモータの騒音低減に関しては従来より各種方法が提案されているが、いずれも効果が限定的で、効率が低下してしまうものがほとんどである。

研究の経緯と成果

図1はスイッチドリラクタンスモータの断面を90度分描いている。固定子に突極が有り、巻線に電流を流し、回転子の突極を吸引してトルクを発生する。A、B、Cの三相を順次励磁するため、励磁する毎に脈動する半径方向力が発生する。三相の半径方向力の和を一定値とすることによって、振動騒音を大幅に低減できることを著者らは3年前に発見した。その際、数式(1)で表される直流から3次までの高調波の和を電流波形として提案した。本論文では、新たに、数式(2)を提案する。2次までの高調波の和とし、2次高調波に位相シフトを導入する点が新しい。

スイッチドリラクタンスモータの断面(90度)

図1 スイッチドリラクタンスモータの断面(90度)

数式(1)

数式(2)

図2は騒音の計測結果を示している。従来の基準となる方形波電流駆動では、900 Hz、1800 Hzで機械的共振と、モータの振動が一致して大きな騒音を発生していた。今回の提案した電流波形を適用することにより、-15 dB、-18 dBの大幅な騒音低減を実現した。騒音が消えてゆく感じがする。

騒音の低減効果

図2 騒音の低減効果

今後の展開

今後の研究では、負荷が大きい磁気的飽和した状態で騒音低減が実現できる電流波形を探索する予定である。また、さらに、電流実効値を低減できる電流波形を探索する予定である。また、プロトタイプの自動車に、モータをインストールして運転してみたい。

掲載誌 : IEEE Transactions on Industry Applications (Volume: 52, Issue: 4, July-Aug. 2016)
論文タイトル : Noise Reduction of Switched Reluctance Motor With High Number of Poles by Novel Simplified Current Waveform at Low Speed and Low Torque Region
著者 : Noboru Kurihara, Jacob Bayless, Hiroya Sugimoto, and Akira Chiba, Fellow, IEEE
DOI: 10.1109/TIA.2016.2549993 別窓

お問い合わせ先

東京工業大学 工学院 電気電子系

教授 千葉明

E-mail : chiba@ee.e.titech.ac.jp
Tel / Fax : 03-5734-2697

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