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2022年度「東工大挑戦的研究賞」10名を表彰 うち3名には「末松特別賞」を授与

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2022.09.14

東京工業大学は7月1日、第21回となる2022年度挑戦的研究賞の受賞者10名を発表しました。うち3名は、末松特別賞にも選ばれました。授賞式は9月1日に行われました。また、9月1日に欠席した受賞者に対し、9月12日に授賞式を行いました。

受賞者との記念撮影(9月1日)

受賞者との記念撮影(9月1日)

受賞者との記念撮影(9月12日)

受賞者との記念撮影(9月12日)

受賞者へ祝辞を贈る益学長

受賞者へ祝辞を贈る益学長

Zoomでのプレゼンテーション風景

Zoomでのプレゼンテーション風景

末松特別賞受賞者プレゼンテーションでの質問風景

末松特別賞受賞者プレゼンテーションでの質問風景

挑戦的研究賞は、本学の若手教員の挑戦的研究の奨励を目的として、世界最先端の研究推進、未踏の分野の開拓、萌芽的研究の革新的展開または解決が困難とされている重要課題の追求等に果敢に挑戦している独創性豊かな新進気鋭の研究者を表彰します。40歳未満の准教授、講師または助教が対象で、受賞者には支援研究費を贈ります。これまで本賞を受賞した研究者からは、多くの文部科学大臣表彰受賞者が生まれています。

挑戦的研究賞受賞者のうち特別に優れている研究者には「学長特別賞」を贈っていましたが、2019年度から「末松特別賞」を贈っています。

「末松特別賞」は、元学長の末松安晴栄誉教授による、「多様な分野で、未開拓な科学・技術システムの発展を予知・研究し、隠れた未来を現実の社会に引き寄せる研究活動を奨励するため」に設けられた「末松基金」による顕彰です。この基金は、末松栄誉教授が2014年、日本国際賞を受賞した際、賞金の一部を東工大に寄附し、本学が若手の研究活動を支援するため設立しました。

2022年度 東工大挑戦的研究賞 受賞者

三浦達哉 理学院 数学系 准教授

研究課題名:高階問題の変分・幾何解析

石塚大晃 理学院 物理学系 准教授

研究課題名:長周期超構造における電子格子冷却の理論

金子哲 理学院 化学系 助教

研究課題名:構造解析に基づく単分子接合の物性制御への挑戦

三浦智 工学院 機械系 講師(末松特別賞受賞者)

研究課題名:人の身体性に適した遠隔操作ロボット用インタフェースの開発

石毛亮平 物質理工学院 応用化学系 准教授(末松特別賞受賞者)

研究課題名:層状液晶相を活用した高機能性剛直高分子の垂直配向制御法の確立

中村誠希 情報理工学院 情報工学系 助教

研究課題名:論理と関係計算の計算複雑さに関する研究

近藤徹 生命理工学院 生命理工学系 講師

研究課題名:生体光エネルギー輸送における量子状態制御機構

佐藤浩平 生命理工学院 生命理工学系 助教

研究課題名:ハチの巣状構造体構築による膜タンパク質安定化法の開拓

神戸徹也 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 助教(末松特別賞受賞者)

研究課題名:人工元素合成のための無機ナノマテリアル精密合成の開拓

松井直喜 科学技術創成研究院 全固体電池研究センター 助教

研究課題名:ヒドリドに基づくエネルギー・水素貯蔵デバイスの創製

末松特別賞受賞者のコメント

三浦智 工学院 機械系 講師

このたびは名誉ある賞を賜りまして大変光栄に存じます。ご推薦いただきました先生方をはじめ、共同研究の先生方、職員の皆様方、学生など多くの方に厚く御礼申し上げます。

私は、人の生体情報を用いたロボット・AIに関する研究に従事しております。今回の研究では、ロボットの直感的な操作を実現するためのインタフェースの開発を実施しています。インフラや医療、サービス業などでロボットを遠隔で操作する技術のニーズは大変高まっております。それらのロボットは作業現場での複雑な環境に適応するために独特の構造をしており、人間の身体とは異なる構造や形態をしている場合が多いです(この性質を「身体性の違い」と言います)。それゆえ、直感的な操作が困難な場合が多く、人間とロボットの2つの異なる構造をつなぐインタフェースが大変重要になります。本研究では、独自の構造のインタフェースを開発しており、初心者や熟練者問わずに直感的な操作を実現できるような知的制御を目指しています。

当受賞を励みに、益々精進して参ります。

石毛亮平 物質理工学院 応用化学系 准教授

ポリイミドやポリチオフェンに代表される芳香環が連なった硬い棒のような形状をもつ剛直高分子は、高分子に特有の柔軟性と他の高分子にはない優れた耐熱性を合わせ持つことから、電子回路の絶縁層から有機薄膜太陽電池の半導体層にいたるまで、様々な用途に用いられています。これらの剛直高分子をフィルムに対し垂直に配列できれば、膜厚方向への高い熱伝導性や電気伝導性など実用上極めて有用な物性を引出すことができますが、熱力学的な制約により極めて困難な課題でした。本研究ではせっけんの泡や細胞膜など自然界にみられる、層状構造を自発的に形成するスメクチック液晶の性質に着目して剛直高分子の垂直配列制御に挑戦するものであり、垂直配列した成分が7割を上回る類のないポリイミド膜の作製にも成功しています。

最後に、この度は栄誉ある東工大挑戦的研究賞および末松特別賞を賜りまして身に余る光栄に存じます。これまで本研究をご支援下さった安藤慎治教授、数多くの実験検討をともに実施してくれた原昇平氏(2020年度修士課程卒業)、ならびに研究室の学生、卒業生の皆様に心より御礼申し上げますとともに、若手研究者に対する本学の多大なご支援に深く感謝いたします。

神戸徹也 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 助教

このたびは、栄誉ある東工大挑戦的研究賞および末松特別賞をいただき大変光栄に存じます。山元公寿教授、今岡享稔准教授をはじめ多くの先生方と研究室やプロジェクトのスタッフ、学生の皆様にこの場を借りて深く御礼申し上げます。

超原子は数個の金属原子から作られる特殊な微小粒子で、原子のように周期律をもって振る舞うことから新しい物質の構成単位になりえる期待を受けて研究されてきました。特に超原子の物性を価電子の数で制御できることが魅力的で、機能を設計できる新物質として注目を集めています。しかしながらこれまでの超原子合成の研究は気相高真空での微量生成か、配位子を利用した安定クラスターの合成に限られており、より簡便で自在な合成はできていません。本研究では鋳型高分子や界面反応を駆使して原子の数と配合比を精密に制御した粒子合成法を開発し、様々な超原子を液相で合成することを目的としています。この超原子を利用することで、貴金属や希土類などの希少元素の代替のみならず、新しい電子状態を持つ新元素も生み出せることが期待できます。

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