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東工大の教員らが中心となり「ファスタイド株式会社」を設立

中分子創薬に関する研究成果を事業化

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2021.05.07

東京工業大学 情報理工学院の秋山泰教授および生命理工学院の清尾康志教授(生命理工学コース主担当)らは、中分子創薬[注1] に関する研究成果の社会還元を目指して、ファスタイド株式会社を設立しました。東工大およびファスタイド株式会社は、「地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」を契機とした川崎市との連携のもと、AI創薬と化学合成技術の融合研究を促進し、革新的な技術の創出と実用化に注力していきます。

プロジェクトによる成果について

東工大は、次世代創薬として社会的期待が大きいペプチド医薬と核酸医薬などの中分子創薬において革新的な技術の創出を目指し、2017年9月に中分子IT創薬研究推進体(以下、MIDL)を設置しました。MIDLは川崎市と共同で、文部科学省の「イノベーションシステム整備事業 地域イノベーション・エコシステム形成プログラム(テーマ名:IT創薬技術と化学合成技術の融合による革新的な中分子創薬フローの事業化)」(以下、本事業)を実施してきました。

本事業では、秋山泰教授を中心研究者とするペプチド創薬にむけたIT創薬技術の開発[注2]と、清尾康志教授を中心研究者とする核酸創薬に向けた人工核酸の開発[注3] との2つの事業化プロジェクトを進めています。3年あまりの活動により、前者では、大規模分子シミュレーションや機械学習等の技術を駆使したペプチド創薬に特化した体内動態の予測システムの開発、後者では、核酸ライブラリーの新しい合成法の確立などの成果をあげました。事業戦略や知財戦略の検討、人的ネットワークの構築などの活動と合わせて文部科学省の中間評価において最高評定である「総合評価S」と評価されました。[注4]

図1. 東工大の中分子創薬技術

図1. 東工大の中分子創薬技術

新会社の設立について

これらの成果をさらに進め、早期に研究成果の実用化・事業化を求める産業、地域等からの要請を受け、科学技術の振興と国際競争力の強化に資することを目指してMIDLに参画している教員が中心となり、2021年4月、中分子創薬支援事業を行う「ファスタイド株式会社」が設立されました。

会社設立時までの間、本事業の正副事業プロデューサー、教員および東工大研究・産学連携本部のリサーチ・アドミニストレーター(URA)らで構成される事業支援グループを編成、組織を挙げて事業化を支援してきました。

東工大およびファスタイド株式会社は、国内外の製薬企業やバイオベンチャー企業などとの戦略的なパートナリング、事業展開を通じて革新的な研究開発および成果の社会実装を推進し、日本の科学技術の振興と国際競争力の強化に貢献していきます。

本件については、川崎市でもプレスリリースを行っています。

設立会社の概要

会社名 ファスタイド株式会社
設立日 2021年4月1日
所在地 神奈川県川崎市
資本金 5,000,000円
代表取締役 社長 藤家新一郎
事業概要 中分子医薬品(核酸医薬品、ペプチド医薬品)及びその中間体の研究開発、製造及び売買。中分子医薬品に関する研究開発における情報収集・処理サービス、情報提供サービス、コンサルティング事業、等。
関連教員

大規模計算および機械学習を用いた中分子創薬手法の開発

  • 秋山泰(情報理工学院 教授/ファスタイド株式会社 取締役)
  • 大上雅史(情報理工学院 助教/ファスタイド株式会社 アドバイザー)
  • 核酸の新規化学合成法の開発とその応用、計算による毒性予測

  • 清尾康志(生命理工学院 教授/ファスタイド株式会社 取締役)
  • 正木慶昭(生命理工学院 助教/ファスタイド株式会社 アドバイザー)
  • 注釈

[注1] 中分子創薬: 分子量が数百~数千で、低分子薬(数十~数百)と抗体医薬(15万程度)の中間の性質を持つ中分子を用いた医薬品の開発までの過程。低分子創薬は市場が飽和状態にあり、抗体医薬は抗原が限られて開発および製造に莫大なコストがかかることが課題となっている。そのため次世代創薬として中分子創薬、とりわけペプチド医薬および核酸医薬に注目が集まっている。

[注2]:Takashi Tajimi, Naoki Wakui, Keisuke Yanagisawa, Yasushi Yoshikawa, Masahito Ohue, Yutaka Akiyama, "Computational prediction of plasma protein binding of cyclic peptides from small molecule experimental data using sparse modeling techniques", BMC Bioinformatics, 19(Suppl 19):527, 2018. doi:10.1186/s12859-018-2529-z別窓

[注3]:Yoshiaki Masaki, Yusuke Iriyama, Hiroyuki Nakajima, Yusuke Kuroda, Tatsuro Kanaki, Satoshi Furukawa, Mitsuo Sekine, Kohji Seio, "Application of 2'-O-(2-N-Methylcarbamoylethyl) Nucleotides in RNase H-Dependent Antisense Oligonucleotides", Nucleic Acid Therapeutics, 28(5):307-311, 2018. doi:10.1089/nat.2018.0738別窓

[注4]:令和元年度地域イノベーション・エコシステム形成プログラム中間評価の結果について|文部科学省別窓

お問い合わせ先

東京工業大学 情報理工学院 情報工学系

教授 秋山泰

E-mail : akiyama@c.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3645

東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系

教授 清尾康志

E-mail : kseio@bio.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5136

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