生命理工学系 News
東京工業大学では、東京工業大学基金(以下、東工大基金)へのご寄附など、本学を支援いただいた方々を招き、感謝の意を表する「感謝の集い」を年に一度開催しています。今年は、10月30日に大岡山キャンパス東工大蔵前会館にて開催されました。卒業・修了生、在学生の家族、寄附いただいた個人/企業(団体)の方、退職教職員及び学内関係者の約180名が出席しました。
2011年の創立130周年を契機に、財政基盤の強化を目的として創設され、これまで個人や企業(団体)の多くの方々から多大なご支援をいただきました。皆様からのご支援は、各種奨学金の充実、学生の海外派遣・留学生の受け入れ支援、若手研究者への大型支援、理科教育の振興支援等に活用しています。
科学技術創成研究院の小池康晴教授が「脳の情報を読み取る」と題して講演しました。
小池教授は、人間の脳の機能を知り、コンピュータを使ってその機能を再現することを目標に、脳の中で行なわれている方法を模倣して機能を再現する研究をしています。なんらかの事情で腕や手が失われた方々が、再び自由を手にするという希望につながる講演内容は、出席者からも好評で、活発な質疑応答が行われました。
特別講演に続き、報告会を行いました。まず、益一哉学長から開会挨拶があり、つぎに、日置滋副学長(基金担当)から東工大基金についての報告がありました。さらに、基金からの支援事業に参加した教員・学生からの活動報告がありました。
「ボローニヤ留学」(環境・社会理工学院 融合理工学系 修士課程2年 栗原悠太さん)
本学派遣交換留学生プログラムでイタリア・ボローニヤ大学へおよそ1年間留学した際の、大学での授業や課外活動など現地での体験について報告がありました。この留学で得た貴重な体験・経験、身に付けた積極性を活かし、将来国際舞台で活躍できる人材となれるよう引き続き研鑽していきたいとの報告がありました。
「『ものつくり』のための自動発泡スチロールカッターの開発」(工学院 学士課程1年 関根史人さん)
市販のカッターでは細部まで処理できないなか、今回の装置開発では、手書きの絵をスキャンすることでイメージ通りの成型が可能になるという未知の可能性を秘めた内容に、会場からは感嘆の声が上がりました。質疑応答では、特に特許関係についての助言などがありました。本支援により、より多くの時間と資金を開発に投入できたことについて発表者の関根さんから謝意がありました。
「世界初、来店不要のフルオーダーメイド靴」(情報理工学院 情報工学系 安田翔也研究員)
スマートフォンで足回りをぐるっと撮影して送ることで、来店による採寸を行うことなくフルオーダーメイドの靴が製作できるという技術革新についての画像を交えての説明に、こちらも会場から感嘆の声が上がりました。安田研究員は採択当時総合理工学研究科知能システム科学専攻の博士課程学生でしたが、本事業をもとに「ビネット&クラリティ合同会社」を起業し、東工大発ベンチャ
ーにも認定されています。
「オートファジーの仕組みはどこまで分かったか」(生命理工学院 生命理工学系 中戸川仁准教授)
中戸川准教授(生命理工学コース担当)は、2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典栄誉教授から直接指導を受けた「お弟子さん」にあたります。大隅栄誉教授による酵母でのオートファジー発見がきっかけとなり、日本で発展した研究。そんな日本発の研究分野に挑む、将来を嘱望されるスター研究者の1人、中戸川准教授の研究成果が紹介されました。
報告会の後、会場を移して交流会を行いました。まず、本学の同窓会組織である一般社団法人蔵前工業会の滝久雄相談役から開会挨拶があり、つぎに、岡田清名誉教授(前理事・副学長(企画・人事・広報担当))による乾杯の発声がありました。会場では、東工大基金が支援した3事業の実施担当者が、報告のパネルや活動で使用した作品などを展示しました。特許関係も含めた参加者からの熱心な質問がやむことなく、活発な交流会となりました。そして、佐藤勲総括理事・副学長の挨拶をもって閉会しました。
今回の「感謝の集い」は、2018年8月1日から2019年7月31日までに東工大基金に寄附いただいた方、これまでに多大な寄附をいただいた方やサポーターズ会員の皆様を招待して行われました。
今後も、東工大基金への寄附者の皆様に対し、本学に親しんでいただくためのイベントを積極的に開催し、幅広い交流を目指して活動していく予定です。
このイベントは東工大基金によりサポートされています。