生命理工学系 News
東京工業大学とaiwell(アイウェル)株式会社は、4月5日に大岡山キャンパス内に「aiwell AIプロテオミクス協働研究拠点」を設置しました。血中のタンパク質の状態から「健康を見える化」し、けが等の超早期予測を目指す研究を進めていきます。
生命理工学院 生命理工学系の林宣宏准教授(生命理工学コース主担当)の研究室とaiwell株式会社は、2018年10月から「AIプロテオミクス」の実用化に向け共同研究を進めてきました。
AIプロテオミクスは、血中タンパク質の二次元電気泳動画像をAI(人工知能)が処理することにより、病気やけがの予兆を早期に見いだすことで、様々な病気やけがになる一歩手前の状態を発見する画期的な研究として注目されています。敗血症においては、98.2%の精度で的確な診断を可能にしました。
aiwell株式会社は、「世界中から未病を無くし、人をずっと健康にする」をミッションに掲げるベンチャー企業です。病気の自覚症状がない場合や、病気が重篤化する前にAIによる診断・治療方針決定支援や創薬支援、医療過疎地での遠隔診療支援が可能になるサービスの実現を目指しています。
本拠点においては、技術をより汎用化して各産業に展開する事業の一環として、人だけでなく家畜にも適用可能なAIプロテオミクスの実用化の研究を進めます。主に、東工大はAIプロテオミクスの更なる高性能化とその実用化のための技術開発全般を、aiwell株式会社はAIプロテオミクスの検体収集、実用化に向けた微量採血運用フローや検査技法の確立を担います。
また、最新技術を活用した事業を様々な分野に多角的に発展させるべく、本研究に参画する企業を募集する予定です。
これまでは研究や一部の最先端医療でしか使うことが出来なかった、生体を構成する遺伝子産物(タンパク質)の網羅的解析(プロテオミクス)の汎用化技術を開発し、それが近年のAIの劇的な性能アップと結びついてAIプロテオミクスが実現しました。
仮説を立ててそれを実証していくというこれまでの研究開発とは異なり、まずデータを取得し、そこから知識を発掘するというデータ駆動型の研究開発が始まっていますが、そのためには、“とにかくやってみる” ことが何よりも大切です。本拠点を足がかりに、多方面の産業でAIプロテオミクスによる産業革命が勃興することを期待します。
名称 | 国立大学法人東京工業大学オープンイノベーション機構aiwell AIプロテオミクス協働研究拠点 |
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場所 | 東京工業大学大岡山キャンパス 緑が丘6号館 |
研究期間 | 2019年4月5日~2022年4月4日 |
拠点長 | 林宣宏(東京工業大学 生命理工学院 准教授) |
東工大と企業の組織対組織の大型の連携を実現する新しい制度で、東工大が学内に拠点専用のまとまったスペースを確保し、共同研究を実行します。また、拠点内に研究企画室を設けて新たな研究プロジェクトを企画し、連携の枠を拡大することを目指します。
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