生命理工学系 News

金融の世界におけるものづくり

平成30年度第6回(通算第73回)蔵前ゼミ印象記

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2019.02.01

2018年11月9日、すずかけ台キャンパスJ234講義室にて、

平成30年度第6回蔵前ゼミ(通算第73回)が開催されました。

蔵前ゼミは同窓生による学生・教職員のための講演会です。

日本社会や経済をリードしている先輩が、これから社会に出る大学院生に熱いメッセージを送ります。

卒業後の進路は?実社会が期待する技術者像は?卒業後成功する技術者・研究者とは?など、就職活動(就活)とその後の人生の糧になります。

講師:中島 誠一先生

1990年 東京工業大学 工学部 経営工学科卒
(株)三菱UFJフィナンシャル・グループ 市場エンジニアリング部クオンツ開発室長
(株)三菱UFJ銀行 市場企画部 市場業務開発室クオンツ開発グループ次長

講師の中島 誠一先生

講師の中島 誠一先生

当日の印象記を、博物館の広瀬茂久特命教授が綴りました。その一部をご紹介します。

直線や規則性のある曲線は数式で表すことができる。中学校で習ったy = ax 、 高校で習ったy = sin θy = log(x) などを思い出すと納得できる。しかし、ブラウン運動や株価の変動などランダムな動き(複雑怪奇な軌跡)までもが数式を用いて解析できるとは、にわかには信じ難かった。しかもその数式(確率微分方程式)なしには、もはや現代社会はなり立たないと言われると、まさかという思いとともに、何とかそれを理解したいという誘惑にかられた。かくして2ヶ月近くを費やして、金融工学の基礎となっているウォールストリート数学の入門書・中級書に挑んだのだが、いまだ五里霧中で、中島さんの話を正確に読者の皆 さんに伝えることができない。そこで今回は、数学的な話は脇に置いて、確率微分方程式を操(あやつ)りながら金融界で仕事をしている人たち(クオンツquant)がどのようにして生まれ、どのような考えで、どのような仕事をしているのかを、中島さんの経験をもとに紹介したい。

中島さんの略歴
金融工学を駆使して新しい社会基盤を創造してみたいと思い銀行へ

中島さんがテニスに夢中になりながらも、進学先を決めようとしていた高校生の頃(1980 年代前半)は、大きな技術革新を伝えるニュースが飛び交っていた。一つはバイオテクノロジー分野で産声を上げ た“遺伝子工学”で、もう一つは“金融ビッグバン”だ。後者に関しては、米国(1975)や英国(1986)で証券市場改革が行われ、債券や株式を使って資金調達する金融制度が自由化されるとともに、コンピュータやITの進歩が金融取引や市場の拡大、さらには高度な金融技術の開発を後押しし始めていた(日本での金融ビッグバンは、中島さんが銀行に勤め始めた1990年代)。

印象記のつづきは以下のPDFよりご覧ください。

講演中の中島さん

講演中の中島さん

会場風景(すずかけ台、J234講義室)

会場風景(すずかけ台、J234講義室)

会場風景

会場風景

パネルDiscussion「社会や企業に求められるエンジニア人材」

パネルDiscussion
「社会や企業に求められるエンジニア人材」

交流会の様子(J2棟20F、2001研究交流室)

交流会の様子(J2棟 20F、2001研究交流室)

交流会の様子

交流会の様子

開会挨拶 太田さん

開会挨拶 太田さん

太田さん:今回は我々の想像を超えた世界があることを知りました。ディスカッションで問題になった人材については、東工大生は企業から見ると採用したい人材ですが、将来、幹部として活躍してもらうためには、リベラルアーツ研究教育院が力を入れている“コミュニケーション力・自己表現力”の強化の他に、マネージメント力も必要ですので、蔵前ゼミではそこに力を入れています。最近の世界情勢としては、 DX(digital transformation: ITの浸透による社会の質的変化)が進行中で、これに対応できない企業・サービスは退場を迫られる時代になっています。学生の皆さんはこれから先、40年間もの社会人生活を送るわけですから、いくつもの変革に見舞われ、その度に大きなトランスフォーメーションを強いられるでしょう。その時にちゃんと芽が出る素地を学生時代に醸成しておいて下さい。

閉会挨拶 橋爪さん

閉会挨拶 橋爪さん

橋爪さん:「今日が本年度の最後のゼミだよ」とカミさんに言ったところ、「それなら派手なネクタイをしていきなさい」ということで、思い切ってこのネクタイにしました。来年も今年とほぼ同じように開催できることになっていますので、この交流会には来年も是非ご参加ください。今日は中島先生に“異次元の話”をしていただきました。特に、若い皆さんにはハッとするような事を大切にして欲しいと思います。感動する心を持ち続けるのが大事で、自分にとっては異次元と思えるような仕事に挑戦する意欲の源になります。このゼミの内容を分かり易くまとめた「印象記」を広瀬さん(資史料館 特命教授)が書いてくれています。講師の人となりにまで踏み込んでいますので読みごたえがあります。Web上で公開されていますので是非目を通してください。過去の分に関しては3,000部印刷し、冊子体としても配布しています(私の話は15頁、司会の安藤さんの話は50頁に載っています)。

最後に一言:仕事には、まず全身全霊で打ち込むこと、良し悪し・適否はそのあとで。

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