生命理工学系 News
平成30年度第5回(通算第72回)蔵前ゼミ印象記
2018年10月19日、すずかけ台キャンパスJ234講義室にて、
平成30年度第5回蔵前ゼミ(通算第72回)が開催されました。
蔵前ゼミは同窓生による学生・教職員のための講演会です。
日本社会や経済をリードしている先輩が、これから社会に出る大学院生に熱いメッセージを送ります。
卒業後の進路は?実社会が期待する技術者像は?卒業後成功する技術者・研究者とは?など、就職活動(就活)とその後の人生の糧になります。
当日の印象記を、博物館の広瀬茂久特命教授が綴りました。その一部をご紹介します。
突然大きな揺れに襲われたときに、それが首都直下地震なのか東海・東南海地震なのか、誰にでもわかる方法があると聞いて、耳を澄ました。首都直下地震の場合はM7程度で、火災による被害が 主となる;東海・東南海地震の場合はM9で大きな津波被害を伴う。M9という巨大エネルギーの放出は、岩盤が約500kmにも渡って大規模に破壊された場合に起こる。岩盤の破壊現象の伝搬速度は毎秒約5kmなので、M9の場合は揺れが(500÷5 =)100秒間ほど続くことになる。すなわち、“1分以上揺れたかどうか”で首都直下か東海・東南海かの見極めができるのだ。決してパニックにならず、首都直下ならば下町以外は安全と思って 行動すればいいし、東海・東南海にしても来るべきものがきたと思って冷静に行動するのが最善の策のようだ。確率論的には、いずれの地震もいつ起きてもいい状態にあるそうだ。しかも巨大地震の前兆現象とみなされている岩盤のスロースリップ(slow slip)が四国近辺の南海トラフのプレート境界で観測されている。
地震発生直後に避難した方がいいのか、建物に残った方がいいのかを教えてくれる装置などを最先端のテクノロジーを活用して作ることにより、世界の地震防災に貢献している吉田さんではあるが、ここにたどり着くまでには、将来何をしていいのか分からず、ドロップアウト寸前の状態も経験した。学部で「ロボット工学」を、大学院で「極地雪氷学」を専攻し、1年半もヒマラヤにこもった。大学院修了後は南極越冬隊に加わり500日も南極で暮らした後に、31歳で計測機器の会社を立ち上げ現在に至っている。これらの過程をたどってみると、そこに貫かれているのは、仲間の大切さと、誰も見たことのない景色や前人未到のものつくりを楽しむ心だ。
印象記のつづきは以下のPDFよりご覧ください。