生命理工学系 News
平成30年度第3回(通算第70回)蔵前ゼミ印象記
2018年6月29日、すずかけ台キャンパスJ221講義室と大岡山キャンパスのS223講義室(遠隔講義室)にて、
平成30年度第3回蔵前ゼミ(通算第70回)が開催されました。
蔵前ゼミは同窓生による学生・教職員のための講演会です。
日本社会や経済をリードしている先輩が、これから社会に出る大学院生に熱いメッセージを送ります。
卒業後の進路は?実社会が期待する技術者像は?卒業後成功する技術者・研究者とは?など、就職活動(就活)とその後の人生の糧になります。
当日の印象記を、博物館の広瀬茂久特命教授が綴りました。その一部をご紹介します。
根性が通じた古き良き時代は終焉。日本では、もはや1日16時間という手段はとれない。しかし ライバルである米国・中国・インドなどでは、それをやっている(かも知れない)。どうしたらいいか。答えはないそうだが、野川さんがテルモで手掛けた人工肺の開発物語に込められた「やってみなければ分からない」精神と趣味としている「ものつくり(手作りパソコン&日曜大工)」などにヒントがありそうだ。プラスティック表面のコーティングに関しては、追い詰められて、「窮鼠(きゅうそ)猫を噛む」的な経験もしたが、その起死回生(きしかいせい)を可能にしたのは、通常の圧力下では小さな穴から水がもれない理由を表面張力との関係で説明できる基礎力だった。
野川さんはテルモに勤めて35年になるが、この間に20程のプロジェクトに関わった。そのうちの約半数は中止になり、数~数十億円規模の損失を出したものもあったが、これが普通らしい。肝心なのは、「いかにローコストで失敗するか」で、「そのために頭を使って欲しい」とのことだった。心がけるべきは判断できるデータを出し、脈が有るか無いかを少しでも早く見極められるようにすることだ(例えば、適切なコントロールを入れ忘れるとせっかくの実験が無駄になるし、上司や仲間の信頼を失う)。一番難しいのは撤退の判断だそうだ。野川さんがリーダーとして中止を決める時は、「データのみでなく、やっている人の状況まで含めて判断するようにしている」と聞いて感心した。
印象記のつづきは以下のPDFよりご覧ください。