生命理工学系 News

医療器の開発現場

平成30年度第3回(通算第70回)蔵前ゼミ印象記

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2018.09.04

2018年6月29日、すずかけ台キャンパスJ221講義室と大岡山キャンパスのS223講義室(遠隔講義室)にて、

平成30年度第3回蔵前ゼミ(通算第70回)が開催されました。

蔵前ゼミは同窓生による学生・教職員のための講演会です。

日本社会や経済をリードしている先輩が、これから社会に出る大学院生に熱いメッセージを送ります。

卒業後の進路は?実社会が期待する技術者像は?卒業後成功する技術者・研究者とは?など、就職活動(就活)とその後の人生の糧になります。

講師:野川淳彦あつひこ先生

1982年 東京工業大学 理学部 化学科 卒業
テルモ(株) CV 事業 R&D部門 部長 テルモフェロー

講師の野川淳彦先生

講師の野川淳彦先生

当日の印象記を、博物館の広瀬茂久特命教授が綴りました。その一部をご紹介します。

根性が通じた古き良き時代は終焉。日本では、もはや1日16時間という手段はとれない。しかし ライバルである米国・中国・インドなどでは、それをやっている(かも知れない)。どうしたらいいか。答えはないそうだが、野川さんがテルモで手掛けた人工肺の開発物語に込められた「やってみなければ分からない」精神と趣味としている「ものつくり(手作りパソコン&日曜大工)」などにヒントがありそうだ。プラスティック表面のコーティングに関しては、追い詰められて、「窮鼠(きゅうそ)猫を噛む」的な経験もしたが、その起死回生(きしかいせい)を可能にしたのは、通常の圧力下では小さな穴から水がもれない理由を表面張力との関係で説明できる基礎力だった。

野川さんはテルモに勤めて35年になるが、この間に20程のプロジェクトに関わった。そのうちの約半数は中止になり、数~数十億円規模の損失を出したものもあったが、これが普通らしい。肝心なのは、「いかにローコストで失敗するか」で、「そのために頭を使って欲しい」とのことだった。心がけるべきは判断できるデータを出し、脈が有るか無いかを少しでも早く見極められるようにすることだ(例えば、適切なコントロールを入れ忘れるとせっかくの実験が無駄になるし、上司や仲間の信頼を失う)。一番難しいのは撤退の判断だそうだ。野川さんがリーダーとして中止を決める時は、「データのみでなく、やっている人の状況まで含めて判断するようにしている」と聞いて感心した。

印象記のつづきは以下のPDFよりご覧ください。

会場風景(すずかけ台、J221講義室)

会場風景(すずかけ台、J221講義室)

会場風景(大岡山、S223遠隔講義室)

会場風景(大岡山、S223遠隔講義室)

交流会の様子(J2棟20F、2001研究交流室)

交流会の様子(J2棟20F、2001研究交流室)

交流会を盛り上げてくれたテルモの今泉さん(中央)

交流会を盛り上げてくれたテルモの今泉さん(中央)

交流会の司会 安藤さん

交流会の司会 安藤さん

交流会開会挨拶 小倉さん

交流会開会挨拶 小倉さん

交流会で主催者に謝意を表する 三原さん

交流会で主催者に謝意を表する 三原さん

交流会閉会挨拶 太田さん

交流会閉会挨拶 太田さん
安藤さん(1976 情科)
前回、今回とお話を伺って、世の中が激変していることが実感できました。
小倉さん(1976 金属 78MS;支部長)
人生山あり谷ありで、「やってみなければ分からない」というのは分かりやすい話でしたね。失敗してもそれを生かせばいいと考えれば気が楽になりますから、考え方次第で楽しく仕事ができることになります。
三原さん(生命理工学院長)
他の蔵前のイベントにも積極的に参加して先輩から薫陶を受けるように心がけてください。
太田さん(1976 金属 78MS;支部長)
技術はすごいスピードで変化していますので、皆さんは社会に出たら技術というよりはタレントを生かすものと考えて下さい。上司は皆さんを、技術よりもタレントで評価します。米国人は何も考えずにただやっていればグローバルになり、いずれ中国やインドもそうなるでしょう。規模的に苦しい日本はOnly One製品で稼いだお金を次の研究開発に回しグローバルな舞台で生き延びなければなりません。幸い日本にはまだ研究開発に回すお金があります。是非それを有効に使って次の世代に引き継ぎましょう。
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