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安納真理子准教授が、令和4年度手島精一記念研究賞著述賞を受賞

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2023.04.18

安納真理子准教授

リベラルアーツ研究教育院で英語・音楽学を担当する安納真理子准教授が『Piercing the Structure of Tradition: Flute Performance, Continuity, and Freedom in the Music of Noh Drama』(「能の音楽における笛の演奏、継承と自由-伝統の型を貫くもの」:Cornell University Press, Cornell East Asia Series、2020年)で、2022年度(令和4年)の手島精一記念研究賞著述賞を受賞。2023年3月14日に行われた授与式に出席しました。


「能」に魅了されたリケジョが学んだ能管、囃子、仕舞、謡

安納真理子准教授2

安納准教授はシカゴ生まれの日系二世。東工大ではTOEFL、アカデミックプレゼンテーション、ライティング、スピーチなど英語の科目を受け持つほか、自身の研究分野である日本伝統芸能における音楽の能、狂言、歌舞伎、文楽を英語で教えています。

ご自身は大学の学部で、化学(有機化学)を専攻、そして副専攻として音楽を学びました。その後、アメリカのPeace Corps Volunteerとしてモロッコに滞在した後、大学院では音楽の道に進みました。イリノイ大学大学院での授業で能の音源を初めて耳にしてから、その中の笛が奏でる旋律や音の不思議さに魅了され、日本に留学。その後は調査研究を重ねながら自らも師匠について笛を学ぶ中で、能管に関する博士論文を執筆することに。そして、この研究を土台にまとめたのが、今回の著述賞を受賞した本です。

安納准教授は、独学では学べない能管を能楽師の先生から口伝で教わる一方、さらなる理解を深めるために能を舞うために必要な囃子、仕舞、謡をも学び、自ら演ずることを通して、能の伝統と改革の関係を探ってきました。また、2021年に東工大ANNEXバークレー(国際協働推進拠点)とカリフォルニア大学バークレー校日本研究センターが共催で行ったコロキウムに安納准教授が登壇し、これまでの研究と体得した能の知識をベースに能の歴史的背景や、能における能管の役割、古典能と新作能において能管がその役割をどのように果たしているのかなどを解説しました。


安納真理子准教授の受賞コメント

この度は栄誉ある賞を受賞させていただき、大変光栄に感じております。受賞の対象となった本は、イリノイ大学の博士論文をもとにしてまとめ出版したものです。アメリカで伝統ある出版社だったので、ひとつひとつの資料の著作権をチェックすることを要求され、大変苦労したことを覚えております。専門書なので一般の読者の目に留まることは少ないのですが、この分野に精通する専門家が書評を書いてくださり、大変うれしく思いました。1冊の本でも背後には協力者たちの苦労があり、出版した後でも関心を持ってくださる方々が現れているのでうれしく思います。東工大の関係者の方々のサポートにも心から感謝しております。

※当書の書評については、こちらをご覧ください。

2022年度(令和4年)手島精一記念研究賞を受賞した皆さん

2022年度(令和4年)手島精一記念研究賞を受賞した皆さん

 Flute Performance, Continuity, and Freedom in the Music of Noh Drama

『Piercing the Structure of Tradition: Flute Performance, Continuity, and Freedom in the Music of Noh Drama』(Cornell University Press, Cornell East Asia Series)

※当書は東工大付属図書館(大岡山キャンパス)、リベラルアーツ図書室で借りることができます。


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