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川名晋史准教授の『基地の消長 1968-1973―日本本土の米軍基地「撤退」政策』が「猪木正道賞特別賞」を受賞

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2021.12.16

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院の川名晋史准教授の『基地の消長 1968-1973―日本本土の米軍基地「撤退」政策』(勁草書房、2020年)が、2021年度の日本防衛学会猪木正道賞特別賞を受賞し、11月28日の日本防衛学会研究大会にて発表されました。 猪木正道賞特別賞は、日本防衛学会から「わが国の防衛と安全保障並びに国際平和に関する分野において優れた業績をあげた個人(またはグループ)の、安全保障についての啓蒙的著作に対して」授与されるものです。


川名 晋史 准教授のコメント

本書は今から50年前、沖縄返還(1972年)の陰で同時進行していた日本本土の米軍基地の撤退をめぐる米国側の政策決定過程を分析したものです。 同時期、日本本土とくに関東一円にあった米軍基地は沖縄へ移ります。
ですから『基地の消長』の消は東京、長は沖縄のことです。

基地は政治的に敏感なテーマです。
つとめて禁欲的に書いたつもりですが、末尾では「日本社会はやがて顕在化する沖縄の基地問題をほとんど無自覚に懐胎した」と、少しだけ私の「評価」に触れました。
のちの沖縄における基地の集中をもたらした決定的な歴史の局面に、日本政府の意思(決定過程)が不在だったと考えられるからです。
この事実をもって、日本政府の手落ちだと非難することも、米国に対する得も言われぬ劣後に同情することも、どちらもできると思います。
その意味では、沖縄の現状にいかなる想いをもつ人にとっても、行き場のない読後感を与えるものだったかもしれません。

受賞に際して、本書は学術的であると同時に啓蒙的であるとの評価をいただきました。
今回、本書が日本の基地政策に対する評価を二元論に回収せず、あえて両価的に書ききったことをみて頂いたのかもしれません。
私の沖縄、そして世界の基地問題に対する姿勢が正される思いです。

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