リベラルアーツ研究教育院 News
2017年11月30日から12月21日、リベラルアーツ研究教育院主催の演劇ワークショップ「大岡山の物語」(全5回)が大岡山キャンパス 大岡山西9号館で開催されました。このワークショップは、同年夏に行われた「声に出してシェイクスピア-悲劇編その1『マクベス』-」の後、熱心な参加者から「劇団大岡山」を作りたいという声があがり、それを受けて企画されたものです。今回は、「大岡山」をテーマに、東工大学生、卒業生、近隣在住の一般の方など、10代から80代までの22名の参加者が演劇を作る中で交流を深めました。
このワークショップは、まず、参加者それぞれが「大岡山」にまつわるエピソードを1分程度で読める文章として持ち寄ることから始まるものでした。参加者の書いた全18エピソードのうち、9エピソードはモノローグの演技、残り9エピソードは配役を決めてのグループ演技とし、リハーサルを重ねていきました。そこに歌を1曲加え、講師の関根信一氏(俳優、劇作家、演出家)とコーディネーターのリベラルアーツ研究教育院谷岡健彦教授が、全体を1時間ほどの作品に再構成し、最終回には観客を招いての発表会を催しました。
披露されたエピソードは、子供時代に東工大の庭に入って遊んだ記憶を語る「わが庭、東工大」、小学校時代に工大祭で見た科学実験への驚きを表現した「くだけた金魚」、年老いた夫婦の営む定食屋の思い出を描いた「『もみの木』のオムカレー」、家族の歴史と東工大の桜並木を重ね合わせた「孫とくぐる桜」などで、いずれもその底に流れる温かいものを感じさせる内容でした。
この全5回を通じて、参加者は自らの内側にあるイメージや思い出を「言葉」に変えることで全員と共有し、それをさらに身体表現に変えて「演劇」を作り上げました。参加者は、演劇が生まれるプロセスの面白さとそのエッセンスを短時間の中で体感することができました。開催後、参加者や関係者からの、続編開催の要望が数多く主催者に寄せられています。