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【研究室紹介】門之園研究室

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2023.06.20

 生命理工学系にはライフサイエンスとテクノロジーに関連した様々な研究室があり、基礎科学と工学分野の研究のみならず、医学や薬学、農学等、幅広い分野で最先端の研究が活発に展開されています。研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、次世代バイオ医薬のデザイン技術について研究する、門之園研究室です。

門之園哲哉准教授

ライフエンジニアリングコース
准教授 門之園 哲哉別窓

キーワード バイオ医薬デザイン、中分子医薬デザイン、腫瘍検出ナノ量子センサー
WEBサイト 門之園研究室Outer

研究紹介

 バイオテクノロジーの進化に伴って、人間の体内にある生体分子(タンパク質、ペプチド、核酸)や細胞などを応用して創り出す「バイオ医薬」の開発が進められています。バイオ医薬は従来の主流であった低分子化合物医薬では実現できない高度な作用メカニズムを持たせることが出来るため、画期的な疾患治療薬が次々と生み出されています。一方で、バイオ医薬は生命活動と連動して機能するという特性から、想定よりも効果が持続しない場合があることや、低分子化合物医薬では見られなかった強い副作用が生じる場合があることなど、課題も多く残っています。私たちは健康寿命の延伸に貢献するために、バイオ医薬のデザイン技術の高度化を目指しています。

 私たちはこれまでに、スーパーコンピューターを駆使した構造計算や、遺伝子組換えによる分子ディスプレイ細胞を利用して、100万種類をはるかに超える多数のバイオ医薬候補分子の性能を、一括で評価して選抜する方法を開発しています。現在、これらの技術の高度化を進めながら、(1) 次世代バイオ医薬デザイン技術の開拓、(2) 腫瘍の超高感度検出プローブの開発、の2つの研究を進めています。

研究成果

  • 最近の主要な論文・著書

T. Kadonosono, K. Miyamoto, S. Sakai, Y. Matsuo, S. Kitajima, Q. Wang, M. Endo, M. Niibori, T. Kuchimaru, T. Soga, K. Hirota, S. Kizaka-Kondoh*, “AGE/RAGE axis regulates reversible transition to quiescent states of ALK-rearranged NSCLC and pancreatic cancer cells in monolayer cultures”, Sci Rep12 (1), 9886 (2022)

K. See, T. Kadonosono*, K. Miyamoto, T. Tsubaki, Y. Ota, M. Katsumi, S. Ryo, K. Aida, M. Minegishi, T. Isozaki, T. Kuchimaru, S. Kizaka-Kondoh, “Antibody-guided design and identification of CD25-binding small antibody mimetics using mammalian cell surface display”, Sci Rep11 (1), 22098 (2021)

K. See, T. Kadonosono*, Y. Ota, K. Miyamoto, W. Yimchuen, S. Kizaka-Kondoh, “Reconstitution of an anti-HER2 antibody paratope by grafting dual CDR-derived peptides onto a small protein scaffold”, Biotechnol J15(12), 2000078 (2020)

W. Yimchuen, T. Kadonosono*, Y. Ota, S. Sato, M. Kitazawa, T. Shiozawa, T. Kuchimaru, M. Taki, Y. Ito, H. Nakamura, S. Kizaka-Kondoh, “Strategic design to create HER2-targeting proteins with target-binding peptides immobilized on a fibronectin type III domain scaffold”, RSC Adv10, 15154-15162 (2020)

T. Kadonosono, W. Yimchuen, Y. Ota, K. See, T. Furuta, T. Shiozawa, M. Kitazawa, A. Patil, T. Kuchimaru, S. Kizaka-Kondoh*, “Design strategy to create antibody mimetics harbouring immobilised complementarity determining region peptides for practical use”, Sci Rep, 10(1), 891 (2020)

門之園 哲哉『中分子ペプチド医薬で新たな標的を狙う!!』実験医学, 41(1), 2-55 (2023) (企画)

門之園 哲哉『シン・中分子ペプチド創薬への技術革新と進化』実験医学, 41(1), 2-7 (2023)

門之園 哲哉, 近藤 科江『CDRペプチドの構造ゆらぎ制御による抗体代替小型タンパク質デザイン』ペプチド創薬の最前線, 第18章, 165-172 (2019)

  • その他の成果発表

T2R2別窓

教員紹介

  • 学歴
2001年 京都大学農学部 卒業
2008年 京都大学農学研究科博士課程 修了 博士(農学)を取得
  • 職歴
2008年-2009年 国立循環器病センター研究所薬理部 流動研究員
2009年-2010年 京都大学医学研究科 特定助教
2010年-2016年 東京工業大学大学院生命理工学研究科 助教
2016年-2018年 東京工業大学生命理工学院 助教
2018年-2023年 東京工業大学生命理工学院 テニュアトラック助教
2023年- 現職
  • 受賞
2018年 平成30年度「東工大挑戦的研究賞」学長特別賞
  • 所属学会
  1. 1.日本癌学会
  2. 2.日本がん分子標的治療学会
  3. 3.日本分子生物学会
  4. 4.日本ペプチド学会
  5. 5.日本生物工学会
  6. 6.日本薬学会

学生へのメッセージ

 この研究室は学生の自主性と好奇心を一番大切にしています。研究室で過ごす期間は短いですが、人生において最も純粋に研究に打ち込める期間です。ぜひ好奇心を持って自主的に研究に取り組み、限りある時間内で自身を成長させてください。それは、卒業後の長い人生において必ず大きな強みになります。

 研究室の中心は学生であり、最大限に自由を尊重しています。自分で毎日の研究計画を立てて実行し、得られた結果をもとに教員や他の学生と議論し、研究を主体的に進めています。研究室セミナーや研究室イベントも、学生同士で役割を分担し、協力して運営しています。自由な環境の中で責任を持って行動することで、さらに成長できるはずです。

 当研究室に興味のある方は、ぜひ研究室に見学に来てください。

お問い合わせ先

門之園 哲哉 准教授

B2棟 421A号室

E-mail : tetsuyak -at- bio.titech.ac.jp
Tel / Fax : 045-924-5848

※この内容は掲載日時点の情報です。最新の研究内容については研究室サイト別窓をご覧ください。

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