学生22名、教職員16名のアクセシビリティリーダーが新たに誕生
3月15日、東京工業大学大岡山キャンパスTaki Plaza(タキプラザ)地下2階ワークショップスペースにて、「第16期(2021年度)アクセシビリティリーダー認定試験」に合格した学生22名と教職員16名、計38名の「2級アクセシビリティリーダー」認定証授与式が行われました。プレゼンターの岡村哲至副学長(学生支援担当)は、アクセシビリティへ着目し自ら学びを進めた意欲、チャレンジ精神への称賛と、社会寄与への期待の言葉を贈りました。
新たな「2級アクセシビリティリーダー」が誕生
ALPプログラム導入2年目で資格取得学生が増加
東工大は2020年度に「アクセシビリティリーダー育成プログラム(ALP)」を導入しました。学生や教職員は、「学習(オンライン講座)」「資格取得(2級アクセシビリティリーダー)」「キャンプ(研修)」のステップ・アップ・プログラムを無料で、希望のステップまで進むことができます(キャンプのみ選抜学生対象)。導入年度に資格取得した学生は2名でしたが、2021年度は学生22名が資格を取得して、受講人数も大きく増加しました。
また、3月1~3日にオンラインにて開催された「キャンプ(研修)」には理学院 数学系の奥澤幹太さん(学士課程3年)が参加し、学びを深めました。
東工大のアクセシビリティ向上のために
認定証授与式は2部制とし、第1部は学生・教職員が参加する「認定証授与式」が、第2部は「2021年度学生アクセシビリティリーダーによる東工大アクセシビリティ調査会」が行われました。新型コロナウィルス感染防止対策として学生間の距離をとりつつ、東工大のアクセシビリティについての意見が多岐にわたり交わされました。これらはアクセシビリティを学んだ学生の貴重な視点として集約され、作成準備中の東工大アクセシビリティマップに役立てられる予定です。
Taki Plaza地下2階ワークショップスペースでの認定証授与式
学生コメント~アクセシビリティを学んで~
認定証授与式に参加した学生アクセシビリティリーダーの皆さんに、資格取得の動機やアクセシビリティを学んだ感想などを聞きました。
認定証授与式参加学生(上列左から:郡山さん、成田さん、尾崎さん、山口さん、小林さん、舘さん、上原さん 下列左から:長尾さん、柳瀬さん、浦野さん、妹尾さん、谷口さん、竹内さん)
尾崎有紀さん(物質理工学院 学士課程1年)
- 学修コンシェルジュJr.(ジュニア)として活動しており、学生に向けて月に2回配信されるLINE記事の文面と、画像の制作に携わっています。LINE記事は横幅が狭いスマートフォンで読まれることを考えると、視認性の高さを維持する必要があることから、アクセシビリティに興味を持ちました。
- ALPでは、VoiceOver(ボイスオーバー)などのツールの存在や、建築についての規格が複数あることなど、自分が知らなかったことについて学べました。
浦野貴徳さん(工学院 経営工学系 学士課程2年)
- 小学生向けの科学に関する工作教室を開いている公認サークル、東工大ScienceTechno(サイエンステクノ)に所属しています。また、高校では併設の特別支援学校との交流会を開催していました。その活動を発展させるために、大学で「くつばこ+」というサークルを立ち上げました。こちらでは点字や手話、ジェンダーなど様々な多様性について、身近に感じてもらうことを目的としています。そのために、多様性に関する謎ときを企画するなどの活動をしています。
- ALPで学んだことを、小学生や色々な特性のある方など、誰にでもわかりやすいスライドやウェブサイト作りなどに活かしていきたいです。
成田翔海さん(物質理工学院 材料系 学士課程2年)
- 公認サークルの東工大ScienceTechnoで、子供に工作を教える活動をしています。
- 障害の種類などが多岐にわたること、それら1つ1つに対処しなければならないことに改めて気がつき、思いやりの心、とくに知識をもとにした配慮が重要だと感じました。これらの情報は常に更新されてゆくものだと思うので、今後も勉強を続けたいです。
柳瀬梨紗子さん(環境・社会理工学院 融合理工学系 学士課程2年)
- 理工系分野を幅広く学び、科学を誰にでもわかりやすく、身近にすることを目指しています。また、TPG(Taki Plaza Gardener タキプラザガーデナー)や学修コンシェルジュJr. として、Taki Plazaの企画・運営、新入生サポートなどに携わっています。
- 私は異なる背景を持つ人とのコミュニケーションに興味があり、今後の専門研究にも生かせそうなことが多くありました。また、日常の中でも思わぬ場面で不自由を感じている人がいると知り、今まで以上に周囲への配慮に気をつけるようになりました。
奥澤幹太さん(理学院 数学系 学士課程3年)
- 確率論の勉強をしています。
- 白杖をついている方が困っている様子だったのに、どのように接したらいいかわからず何もすることができなかったことがあります。不甲斐なく感じ、多様性が求められるこの社会にアクセスをするための方法を学ぶ必要があると感じた経験が、アクセシビリティに関心を持ったきっかけであり、ALC(アクセシビリティリーダーキャンプ)に参加をする動機になりました。
小林達也さん(物質理工学院 応用化学系 学士課程3年)
- 東工大ScienceTechnoとChemtech(ケムテック)にて、サークル活動をしています。
- スマートフォンの設定時やPowerPoint(パワーポイント)での資料作成時などで、アクセシビリティについての文面を目にすることはありますが、ALPで学ぶ以前はとくに意識できていませんでした。勉強を通して、ただ見やすいといった以外の観点からも、資料を検討できるようになりました。アクセシビリティに配慮したアクセシブルな資料を作成できるように心掛けたいと思います。
山口督太郎さん(工学院 機械系 学士課程3年)
- 工学院 機械系で勉強するかたわら、友人とゼミを開いたり、趣味でプログラミングや写真撮影をしたりしています。
- 手すりや廊下、駐車場の幅、エレベータの大きさなど、あらゆるところにアクセシビリティが要求されるだけでなく、WEBのレイアウトなどにも何が求められているのかが知れたことが大きな成果でした。
郡山隼人さん(理学院 数学系 学士課程3年)
- 2022年度から解析学を扱う研究室に所属します。2021年度は小学生を対象としたサイエンスコミュニケーションの実践を目指す公認サークル「東工大ScienceTechno」で代表をしており、活動上有益かと思い、サークル内のメンバーに呼び掛けてALPを受講しました。
上原綾太さん(物質理工学院 材料系 学士課程3年)
- 有機材料を専門に扱う学科に所属しており、2022年度からは主に高分子材料に関する研究を行う研究室に所属します。
- ALPでは普段知らなかったような知識を知れて、楽しかったです。これからもこの知識をいかしたいと思いました。また、普段何気なく生活している中に、課題もあることを知りました。
長尾優真さん(物質理工学院 応用化学系 修士課程1年)
- CO2の回収と利用の一本化に向けた、溶融ホウ酸塩の研究を行っています。また、ALPヘのモチベーションとして、学部時代にサイエンスコミュニケーションサークル「ScienceTechno」に所属していたことも大きいです。
- 改めて、多様性に富んだ世界に向けて学べてよかったです。
舘優樹さん(情報理工学院 数理・計算科学系 修士課程1年)
- SNSなどビッグデータで社会の情勢を理解する情報可視化技術や、アプリの研究を行っています。
- 自分が使わない設備については意識することが少なかったのですが、例えば障害者用駐車スペースがどのように設置されているかなど知ることができ、勉強になりました。
妹尾豪士さん(工学院 情報通信系 修士課程2年)
- 機械学習を高速化するソフトウェアとハードウェアの協調設計を行う研究室に所属しています。
- ALPで取り上げられている事については、7割ほどはこれまでの知識と常識をもとに正しく判断できましたが、残り3割は知らないと気づけないような内容でした。紹介されていた細かい数値は忘れてしまいそうですが、今後の意思決定時に振り返れば、有益なヒントになる内容だと感じました。
竹内柚衣さん(生命理工学院 生命理工学系 修士課程2年)
- ストレスを軽減する効果を持つ食品成分の研究を行っています。
- 就職活動やコロナ禍の中で、多様性について考えるようになり、今回アクセシビリティについて学んでみることにしました。2022年度からBtoC(Business to Consumer:企業と一般消費者との取引)の企業に就職予定で、お客様の中には今回学んだような様々な状況を抱えた方がいることを考えると、自分の知らなかった知識を広げることができて良かったです。
- 障害やバリアフリーと聞いて、なんとなく分かったつもりでいましたが、自分の知らない知識がまだまだあることに驚きました。知らないことがたくさんあることを実感できたこともまた学びになりました。様々な分野のことをバランスよく学ぶことができて良かったです。
谷口晃大さん(工学院 電気電子系 博士後期課程1年)
- 無線通信や電波技術を用いた、ヘルスケアや電磁環境と社会の調和について扱う研究室に所属しています。
- ALPでは、アクセシビリティ改善の方法を、人体の特性などの原理から社会制度まで幅広く学ぶことができた点がためになりました。ALPで学んだことは、人と接する様々な場面で生かすことができると感じました。
※学生の所属、学年は認定当時のものです
認定証授与式に参加した学生および教職員と、道又紀子学生相談部門長(前列左から5人目)、岡村副学長(同6人目)