生命理工学系 News
6月2日、日射しまぶしい日曜日、おもに女子高校生に本学でのキャンパスライフを体験していただくイベント「一日東工大生」が開催されました。
5回目の開催となった今年は益一哉学長も参加し、首都圏各地の女子校および共学校から全17校が参加しました。参加生徒数は168名、引率高校教員も15校から20名が参観し、水本哲弥理事・副学長(教育担当)の熱いウェルカムスピーチに迎えられて、みんなで「一日東工大生」体験をしました。
当日のプログラムと参加校は以下の通りです。
プログラム | 会場 | ||
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10:00 - 11:30 | レクチャー 「からだの中を光で診る ~医療の未来」 近藤科江教授(生命理工学院 ライフエンジニアリングコース主担当) |
西講義棟1 レクチャーシアター |
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11:40 - 12:40 | 先輩と語ろう 学校ごと 先輩トーク。総勢約40名の先輩がおもてなし。 学食体験 お好きなメニューでどうぞ。先輩がエスコートします。 |
大学食堂棟1階 生協第1食堂 |
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12:45 - 13:40 | 専門ごと 大質問会 専門分野に分かれて 理学/機械/電気/応用化学/情報/生命/建築/融合/未定 |
大学食堂棟1階 生協第1食堂 |
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13:40 - 14:00 | 移動、休憩 | ||
14:00 - 15:30 | 実習 「飛び出せ工学君! 」 ~振動を使って走る移動機械を創る! 岩附信行教授(工学院長) |
大岡山西2号館 4階 W241講義室 |
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15:30 - 15:40 | アンケート提出、東工大セット配布、解散 |
午前・ランチタイム・午後と、それぞれに工夫が凝らされたプログラムが行われました。
午前はレクチャーシアターでの講義、生命理工学院 生命理工学系の近藤科江教授の「からだの中を光で診る~医療の未来」です。工藤明特命教授が用意したメダカの透視画像を蛍光顕微鏡で覗き、はじまる前から期待が高まります。
まずは近藤教授の自己紹介です。「女性はダメだ」と研究室入りを断られたり、留学先でも希望の専門分野に出会えなかったり、人生でぶつかった、あまたの「壁」を壊して道を切り開いてきた近藤教授の歩みに、女子高校生たちは、自分の未来を重ねて、真剣に聞き入っていました。「自分の限界を周りの偏見に合わせて決めるな。」女性科学者の先輩からのパワフルなメッセージです。
自己紹介のあとはいよいよ本題、放射線のような有害なものを使わずに体のなかを透視する「光の医療」最前線へ。まずは全員に配布した、コンサートでおなじみの光るブレスレットをポキッと折って光らせてみましょう。「なぜ光るの?」「隣の人と色が違うのはどうして?」真っ暗な会場でキラキラ光る蛍光の神秘に、好奇心が加速します。
光の発生は、エネルギーが生み出されて起きる現象です。いろいろな色に見えるのは、長さが異なる波として光が生み出されているためです。化学反応で生み出された光エネルギー(化学発光)を蛍光物質に与えて、さまざまな波長をもった蛍光物質固有のエネルギー(蛍光)を作り出したため、このブレスレットはいろいろな色に光りました。波長は長くなると体の中を通り抜ける力が強くなるので、たとえば赤い色のように、より長い波長の光を用いれば、より体の深いところまで見ることができます。この光を超高感度で捉えることができれば、光で診断できる未来が期待できます。光診断の特徴は、安全であるとともに、形だけでなく、その組織がどう機能しているかも診断できることにあります。
原理の説明に続き、実験室にいる大学院生が、枯れ葉やマウスの実験の進行を実況中継しました。臨場感あふれる演出のおかげで、ラボ気分も味わえました。
からだの機能を光で診断する。キラキラブレスレットから広がる未来の医療に触発されて、質問タイムには免疫に関わる深い質問も飛び出し、医療=医学部ではなく、医工連携の未来では、工学こそが新しい医療を担っていくことが発見できた90分間でした。
日曜日の生協食堂を特別にオープンし、母校の先輩としっかり語れる2時間のランチタイムを準備しました。
参加校それぞれの高校の卒業生で本学在学中の学生が、おもてなし先輩部隊としてランチタイムの運営を担いました。各校2~3名ずつ総勢42名の先輩が参加し、高校ごとに分かれて後輩たちとランチ・テーブルを囲みます。懐かしい制服、懐かしい先生、少し成長した自分も見てもらいたいと、ガールズトークに花が咲きます。
ランチタイム後半は、志望の専門分野ごとに分かれての大質問会にシフトチェンジ。専門がしぼりきれない方には、入学したばかりの1年目の学生が自分の経験をもとに対応していました。先輩1名を4~5名の高校生が囲むバランスの良い配置で、聞きたいことが聞ける体制になるよう配慮しました。
工学院長の岩附信行教授の講義は、まずはちょっとしたマジックから始まりました。「あなたの『心の数字』を当ててみましょう。ミュージック・スタート!」みるみるフロアの気分がほぐれてゆきます。
さらに、珍しい「カエル木魚」の音を聴かせつつ、工学分野の幅広さを紹介したあとは、いよいよ実習「振動を使って走る移動機械を創る!」です。
ゼンマイでぶるぶると振動する小さなユニットに4本の針金の脚を付けて、振動を前進する動きに変えるマイホースを作りました。脚の向きや長さを工夫すれば、ガラッと動きが変化します。6名の岩附研究室の先輩たちがフロアを走り回ってサポートしました。
どんな形が一番速く走れるか!答えはどこにも載っていません。理屈よりも、とりあえず手を動かしての試行錯誤が重要です。20分の工作&試行時間を終えると、壇上にしつらえられたグリーンのミニ競馬場で、いざ真剣勝負。白熱のレースを勝ち抜いて優勝したのは共立女子中学高等学校の生徒さん、準優勝は鴎友学園女子中学高等学校の生徒さんでした。
最後に、益学長より、スピーチ「来たれ東工大!」がありました。
生命の光の神秘にうっとり魅了され、同窓の先輩と楽しく盛り上がり、マイホースを勇ましく走らせた充実の一日。今回のイベントが、参加者にとって、進路選択の大切なきっかけにしてもらえることを期待しています。
新しいことに出会えた参加者の興奮が、自由記述欄にぎっしり詰まっていました。その中からほんの一部をご紹介します。
からだの中を光で診る
- 生命、医療系に興味がある私にとって、医工連携はとても興味深い内容で、これからの時代より一層求められるべきは医-工間の技術、ニーズとシーズの発展であり、私もその橋渡しの一員になれたらな、と思いました。
- 「ネガティブ」を「ポジティブ」に「ピンチ」を「チャンス」にしていけるよう、日頃もっとがんばりたいと思えました。
- 光で体の中を見るというのはとても興味深かったです。意外なものから意外なことができると思うとわくわくします。
先輩と語るランチタイム
- 親身になって話を聞いて下さったり、高校時代の勉強方法など役に立つ話をしてくださったりなど、とても良い機会になりました。東工大の具体的なイメージがわいて、とても楽しかったです。
- 自分の興味あることを貪欲に追求している姿が素敵でした。この大学に入りたいと改めて思いました。アドバイスをたくさんいただいたので、今日からまた頑張ります。1日ありがとうございました。
- 昨年の一日東工大生で隣の席で講義を受けていた先輩が、今日は東工大生としていろいろなことを教えてくださって、2年後は自分もそんな風にして東工大生側になりたいと思いました!
飛び出せ工学君!
- ゴキブリみたいな形にしたらサーッといきました。先生の元で工学を学びたいと思いました。
- 答えのない問題はモヤモヤしそうなイメージだったけれど、楽しく実験できました。
- もっと速くなるよう家でつくってみます!