生命理工学系 News
平成29年度第6回(通算第67回)蔵前ゼミ印象記
2017年11月10日、すずかけ台キャンパスJ234講義室にて、平成29年度第6回蔵前ゼミ(通算第67回)が開催されました。
蔵前ゼミは同窓生による学生・教職員のための講演会です。
日本社会や経済をリードしている先輩が、これから社会に出る大学院生に熱いメッセージを送ります。
卒業後の進路は?実社会が期待する技術者像は?卒業後成功する技術者・研究者とは?など、就職活動(就活)とその後の人生の糧になります。
当日の印象記を、博物館の広瀬茂久特命教授が綴りました。その一部をご紹介します。
タックスヘイブン(租税回避地)の内部機密文書がリークされ、「まさかこの人が…、あの会社までが…」と社会に衝撃を与えている。杢野さんの行動規範は、その衝撃を和らげてくれるものだった。杢野さんは中高一貫教育の「女子学院」で学んだが、その創設者(Mary T. True)の言葉「自分のつとめを怠ったり、自分に力があるのに他を助けなかったりした時、苦痛を感じるような女性になりなさい」が、今も心のよりどころになっているそうだ。忘れかけていた「良心の呵責」という言葉を思い出させてもらった。この“力があれば…助けなさい”というミセスTrueの教えは、その後の杢野さんの成長とともにレベルアップされ、今では『力をつけて…助けなさい』というように、より能動的な形で杢野さんの心を占めるようになっている。コンサルタントとしてプロの仕事をするために、猛烈に、最新の世界市場や技術の動向さらには経営戦略等を勉強し、時代の変化や技術革新の速さに取り残されそうになっている企業の再生に貢献できたとき、鳥肌が立つような幸せを感じるそうだ。杢野さんの力の源は“プロフェッショナル”を意識して自分を高めることにあるようだ。
もう一つ、杢野さんの活力の源泉をたどると、子育てに行き着く。子供を授かった後の選択としては、(1)メードさんを雇って、今までどおりのペ ースで仕事を続けるか、(2)育児をしながらできる仕事にかわるかのどちらかだったが、杢野さんは後者を選んだ。「わが子に時間を割いてやりたい」と思ったからだ。そして、自分の手で育てているうちに、「自分が死んだ後にも、この子は生きていく; 幸せに暮らして欲しい。住みよい社会を残してやろう!」という思いがこみ上げてきて、そのために今自分がしなければならないことが自ずと定まった。子孫の繁栄を考えると、よりよい環境や社会の仕組み作りはもちろんのこと、競争力のある企業を育てる必要がある。この当たり前のことに気づかせてくれた「子育て」は、杢野さんにとって、以前にも増してバリバリと働く意欲を掻き立ててくれた、かけがえのない経験になったようだ。
印象記のつづきは以下のPDFよりご覧ください。