生命理工学系 News
東京工業大学科学技術創成研究院の大隅良典栄誉教授が、生物医学分野において重要な功績に対して贈られるポール・ヤンセン生物医学研究賞の受賞者に選ばれました。
今回、大隅栄誉教授が受賞するポール・ヤンセン生物医学研究賞は、人類の健康に著しく貢献する基礎研究や臨床研究をした科学者などに授与されます。 類まれな才能で、数々の薬を生み出し、現代薬学に大きく貢献したポール・ヤンセン博士の偉業を讃え、博士の創立した会社をグループ化した米国のJohnson & Johnson社が2005年より毎年授与しています。
今回の受賞は、大隅栄誉教授のオートファジーの研究功績が高く評価されたものです。オートファジーとは飢餓状態に置かれた細胞が飢餓を乗り切るために自らの細胞の一部を分解し、栄養源とする機能。大隅栄誉教授は、そのメカニズムや関連する遺伝子を次々と明らかにし、細胞や細胞組織の維持と修復に不可欠であることを解明し、生物医学分野の発展に大きく寄与しました。
Dr. Paul Janssenは、数々の重要な医薬を次々と開発し偉大な業績を挙げた巨人です。私は基礎生物学者として、酵母を用いてオートファジーと呼ばれる細胞内分解機構を長年研究してきました。27年前、この研究を始めた当初から医学領域に拡がることを期待した訳ではありませんし、創薬などを目指していた訳ではないので、この大きな賞に相応しいかという戸惑いもあります。しかし医学、薬学領域にあっても基礎的な研究が重要であることを認めて頂いたことに素直に感謝したいと思います。