機械系 News
東京工業大学 科学技術創成研究院の大竹尚登教授(機械コース 主担当)が、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めたとして、令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)を受賞しました。文部科学省が4月7日、発表しました。
表彰式は4月19日に文部科学省(東京都千代田区)で行われました。
科学技術賞(研究部門)は、我が国の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究または開発を行った者が対象です。令和5年度は50件(62名)が受賞しました。
東京工業大学関係者で令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰の受賞者は、科学技術賞(研究部門)が大竹尚登教授を含む4名、若手科学者賞が1名でした。東京工業大学の受賞者については、東工大ニュース「東工大関係者5名が令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞」をご覧ください。
Diamond-Like Carbon(DLC)膜は、ダイヤモンドの構造とグラファイトの構造の両者が混ざり合ったアモルファスの機能性炭素薄膜で、低い摩擦係数と高い耐摩耗性を有することから、平成の時代に大きく実用化の進展した材料の1つに挙げられます。DLCの研究に携わった2000年頃は、まさにその自動車への応用が立ち上がったところでしたので、DLC表面をデザインし、また独自の成膜法を開発することにスタッフ、学生とともにワクワクしながら取り組んでいました。多くの失敗実験の後に大気圧でのDLC成膜を確認したときは学生と大いに喜び合ったものです。そしてDLCの表面デザイン法はいくつかの大学・企業で使っていただき、東工大発ベンチャー企業の1つである株式会社iMottでは現在も成膜を続けています。思えば、良き師を得たこと、名古屋大学で材料教室に在籍できたこと、共に研究したスタッフと学生が素晴らしい眼をもっていたこと、多分野の才能豊かな友人を得たこと、秘書さん、事務局、産学連携の方々の応援を得たこと、共同研究先、大田区の中小企業の方から暖かくも厳しいご意見をいただけたことが今回の受賞に繋がったに違いありません。皆様に心から感謝いたします。その総決算が国際標準化であり、2021年に国内外の多くの専門家とともにDLCを学術的に分類することができました。マネジメントの仕事が多い中ですが、まだまだ素性のわからないDLCの世界をこれからも学生と共に楽しんでいきたいと思います。なお、この5月から本学博物館で「ニューダイヤモンド」のミニ展示が開催されています。DLCだけでなく波多野睦子先生のダイヤモンドセンサなども展示されますので、是非足をお運びください。