未来

人工光合成を実現して豊かで美しい未来を

日本電信電話株式会社(NTT)
先端集積デバイス研究所 研究員

高島 舞 さん

高島 舞さん

現在の仕事について教えてください。
植物のように太陽光と二酸化炭素からアルコールなどの有機物や水素を生成させる人工光合成の実現を目指した材料開発に従事しています。研究内容は学生時代と変わりましたが仕事の内容としては研究室時代とさほど変わらず、仮説を立ててそれを実験で実証する、ということを繰り返し、より太陽光変換効率の高い材料を目指しています。また、その成果を論文にまとめたり、国内外の学会で発表したりもします。日本の企業で基礎研究をしっかりやっているところはおそらくNTTだけだと思います。これほど恵まれた環境で研究ができることは研究者として幸せだと思います。
東工大での経験や学びは、いまの仕事にどう活きていますか?
業務自体が研究室時代と変わらないため、東工大での経験すべてが活きているといっても過言ではありません。目標を達成するための仮説を立てる力、それを実証するための実験する力、それをほかの人に伝える文章力や表現力、プレゼン力…私はそのほとんどを東工大で身に付けました。また、NTT研究所は実に様々な研究をしており、働いている研究者の国籍やバックグラウンドも様々です。私は博士後期課程での半年間の米国留学経験を通して、色々な国の人と一緒に働くことの面白さを知り、また新しい世界に飛び込む度胸もつきました。研究に行き詰まったときには研究所間の垣根を超えて様々な研究者のもとへディスカッションに行くことも多く、時には思いもよらないコラボレーションが始まります。
今後の目標を教えてください。
2020年代の人工光合成実用化を見据えて現在研究に取り組んでいます。私たちが挑戦していることは実に先の長い話で、時には失敗の連続で方向性を見失ってしまうこともあります。しかし、私は学生時代から環境問題に関心があり、博士後期課程では環境問題を解決する一助となる耐摩耗コーティングを研究していました。今取り組んでいる人工合成技術が実現すれば、地球温暖化の一因である二酸化炭素を減らし、化石燃料の減少にも対応できるため、必ず人類社会を豊かにしてくれると確信しています。この夢を失わずに持ち続けながら毎日の地道な実験を積み重ね、遠い目標に向かって一歩ずつでも近づけるよう、日々努力をしています。
最後に、東工大を目指す人に一言お願いします。
東工大は、様々なチャンスに溢れている大学です。私も博士後期課程では留学に行ったり、シンポジウムの運営を行ったりと、様々な経験をさせて頂きました。自分から熱意をもって積極的に行動すれば、必ず大学は答えてくれます。東工大はそういう大学です。ぜひ、やりたいことをどんどん口に出して、行動に移してください。また、時には学生の飲み会に先生が乱入したりするほど、特に機械系の先生方は学生との距離が近く、気軽に相談に乗ってもらえる環境も整っています。人生の中でこれほどまでに濃い時間を過ごせる時間はそうないと思います。頭と体を最大限に使い、大学生時代を存分に楽しんでください!

たかしま・まい(福井県出身)

2010年
東京工業大学 大学院理工学研究科機械物理工学専攻 博士後期課程入学
2013年
東京工業大学 大学院理工学研究科機械物理工学専攻 博士後期課程修了
2013年
博士(工学)学位取得
2013年
日本電信電話株式会社(NTT)入社

※記事の内容は取材当時のものです

ページのトップへ

CLOSE

※ 東工大の教育に関連するWebサイトの構成です。

CLOSE