機械系 News
異分野融合研究で、斬新な発想の新たなモノづくりにチャレンジ
東京工業大学は理工系総合大学として、様々な分野の研究を行っています。この多様性を生かし、既存の研究分野を超えた革新的な知見・知識の創出を目指し、異分野融合研究の推進にも注力しています。実際に、若き研究者たちが専門分野の垣根を超えて力を結集し、液体金属を応用した研究を進めています。その様子を「液体金属 その新たな可能性」として研究動画にまとめ、2021年5月、公開しました(再生時間 約4分)。
この動画では、比較的低い温度で水や油のような液体の状態となる金属の魅力と、そのユニークな応用研究を紹介しています。液体金属というと、製鉄中の金属や金属の溶接のプロセスのイメージがあります。また、液体金属は熱を良く伝える性質が知られており、エネルギープラントの冷媒として用いられる事もよく知られています。こうした内容とは全く異なる応用方法にチャレンジしている研究者たちの活躍をこの動画では取り上げました。
動画の前半では、液体金属技術を専門とする科学技術創成研究院の近藤正聡准教授(原子核工学コース 主担当)がコンクリート構造を専門とする環境・社会理工学院 土木・環境工学系の千々和伸浩准教授、金属化学を専門とする物質理工学院 材料系のオ・ミンホ助教と連携して研究している「易融金属繊維補強コンクリートの開発」について紹介しています。
この共同研究は2019年5月、「資源循環型社会を実現する易融金属繊維補強コンクリートに関する研究」として、東工大基金を活用して創設された「異分野融合研究支援」の第1回目に採択されました。3人の研究者は、異分野融合研究の創出促進を目指して開催された学内イベント第2回東工大リサーチフェスティバル(Tokyo Tech Research Festival 2018)で知り合い、共同研究を始めました。このイベントは2018年11月、将来性のある学内の研究者が出会い、これまで想定し得なかった新たな連携・融合研究が生まれることを期待して行われたものです。
動画の後半では、近藤研究室の工学院 機械系 学士課程4年(当時)の村上勝也さんが中心となって進めている国立天文台との共同研究を紹介しています。液体金属を回転させながら固化する方法により凹状の鏡を形成し、大型望遠鏡の主鏡などに応用する研究です。これまでに課題とされてきた大きな鏡の加工性の課題を革新的なアイデアで解決し、宇宙探索などへ応用することを目指しています。この研究は、サイトビジット2019での出会いがきっかけとなっています。「サイトビジット」とは、大学共同利用機関法人自然科学研究機構が実施している、機構内外の様々な分野の研究者が出会い交流するプログラムです。この取り組みにより、「液体金属」と「宇宙」の思わぬ発見とコラボレーションが実現しました。
今後も、東工大で実施されている様々な研究の最前線や、奇跡的な出会いが生み出す異分野融合研究などを動画で紹介していきます。ぜひご期待ください。