機械系 News
井上・阪口研究室の論文が2018年度の日本機械学会賞(論文)を受賞しました.
論文題目:多結晶Ni 基超合金の室温疲労き裂進展に及ぼす結晶粒の方位と粒界の影響
著者:檜垣真奈,阪口基己,松浪賢史,金子秀明,唐戸孝典,鈴木健太,井上裕嗣
日本機械学会論文集,84巻859号(2018年3月),17-00578
本論文は,井上・阪口研究室と三菱重工業(株)との共同研究の成果をまとめた論文です.
これまで,ガスタービン高温材料として用いられるNi基超合金の疲労き裂進展については,800℃以上の高温域での挙動を対象にした多くの研究が行われてきました.しかし,近年の冷却技術の強化によりタービン起動停止時に生じる低温域での熱応力とその繰返しによる疲労き裂進展が重要になっています.本論文では,Ni基超合金一方向凝固材から厚さ方向に結晶粒界を持たない2次元多結晶体試験片を切り出し,結晶粒の方位や大きさを体系的に変化させながら,結晶粒内と粒界近傍での室温疲労き裂進展挙動を明らかにしています.超合金の低温域での破壊挙動を精査した成果は,タービン高温材料の新しい設計指針にも繋がるため高い工業的価値を持つと評価されました.また,2次元多結晶体を用いてき裂と粒界の相互作用を可視化した成果は,結晶組織の影響が強く現れる発生初期の微小き裂進展の問題にも展開でき,学術的にも大きな波及効果を持つと期待されています.