リベラルアーツ研究教育院 News
~理工系学生とミュンヘン工科大学学生による異文化協働型授業を実施~

2025年度、リベラルアーツ研究教育院(ILA)は、教育における今後のグローバルな展開を見据え、ドイツのミュンヘン工科大学で日本語を学ぶ学生との協働型の異文化交流授業「異文化交流実践実習」(学部2年生以上対象)および「異文化交流実践実習アドバンスト」(修士1年生以上対象)を設置・開講しました。この授業は、ILA教員の企画のもと、アントレプレナーシップ機構の多大な協力を得て実現しました。
本授業はオンライン交流(第2クオーター)と対面のワークショップ(夏季休暇中の5日間)を組み合わせた2単位科目となっています。本年度は9月初旬にミュンヘンからは16人が来日、本学からはミュンヘン工科大に今秋から留学予定の学生3名を含め計11名が履修し、グループワークによる交流をとおして異文化理解を深めました。
第2クオーターのオンライン授業では写真を見せながら、お互いの生活や文化について日本語と英語で説明しあうアイスブレイク、フィードワーク地の東京の環境・歴史・文化についての英語によるミニ講義、その内容に関連するテーマについて、東京とミュンヘンを比較しながら英語で議論するディスカッションの3部構成で行われました。オンライン授業の最終週には同じテーマに興味をもつ学生同士がグループをつくり、各グループで対面フィールドワークの計画を立てました。

対面のワークショップでは、まず初日の午前中にウェルカム・セッション、その後、つばめテラスでの昼食とキャンパス・ツアーを行いました。午後はオリエンテーションののち、グループごとにフィールドワークに向けて作業を開始。

2日目には、各々のグループがリサーチのテーマに沿って、フィールドワークを実施しました。それ以降の日程では、最終日のグループ・プレゼンテーションに向けて、各グループが準備を進めました。

このグループはグループロゴと表面温度を測定するための測定器(右)も制作しました
最終日のプレゼンテーションでは、都市環境における公園のさまざまな役割、食文化、若者文化など、多様なテーマが発表で取り上げられ、Q&Aも大いに盛り上がりました。

授業開始時には、英語のコミュニケーションに不安を抱えていた履修生もいましたが、ミュンヘン工科大の学生の日本への深い関心と積極的な働きかけも手伝って、友好的な雰囲気のなかで活発な意見交換ができるようになりました。授業の最後のアンケートでは、ことばが伝わることの楽しさ、小さな文法や語彙の間違いを恐れないことの大切さ、ミュンヘン工科大の学生の積極的な姿勢からの学び、若者同士の共通点の発見、また英語学習への意欲向上などの効果が見られました。履修学生それぞれが、自らのリーダーシップを発見し、また発揮する機会を得られたようです。

さらに、この授業はミュンヘンへの留学を控えた学生のための留学準備コースの役割も果たすことができました。10月には、本授業を履修したミュンヘン工科大の学生の有志が、東京科学大学からの留学生を歓迎するイベントをミュンヘンで企画してくれました。
これまで本学はミュンヘン工科大と学生派遣・受入の提携をおこなってきましたが、2大学での本格的な合同プログラムはなく、この授業が初の試みとなりました。この授業を通して両大学間の交流がさまざまなレベルでさらに深まることが期待されます。
受講前の私は、英語での交流に自信がなく、異文化コミュニケーションは自分には難しいものだと感じていました。しかし、この授業でドイツの学生と共にフィールドワークや発表に取り組む中で、「英語があまり話せなくても、工夫をすれば思いは伝わる」という考え方に変わりました。最終的には、緊張よりも、置かれた環境が違う人々とコミュニケーションを取る楽しさのほうが大きくなり、言語の壁は想像していたよりも低いことを実感しました。英語力だけでなく、観察力や質問力、相手の価値観や文化を理解する姿勢も鍛えられる授業です。異文化交流の一歩を踏み出したい人には、ぜひ挑戦してほしいです。
ミュンヘン工科大学への交換留学を控える中で、本授業は現地学生と交流できる貴重な機会となりました。英語でのディスカッションでは、これまで相手に伝わらないことへの不安から発言をためらうことが多かったのですが、授業を通じて会話の流れに自分の意見を結びつけたり、相手の発言を自分なりに言い直して理解を確認したりする練習を重ねることができました。特に、自分の意見をリフレーミングして再度述べる練習を通じて、英語で発言する際の心理的ハードルが下がり、より積極的に議論に加わることができるようになりました。また、フィールドワークや授業外の交流を通じて友情を育むことができたことも、留学に向けた安心感や大きなモチベーションにつながりました。学術的な学びと人的なつながりを同時に得られる、非常に有意義な授業でした。