リベラルアーツ研究教育院 News
9月6日〜8日に東京大学で行われた国際学会日本デジタル人文学会第11回大会(JADH2021)"デジタル人文学とCOVID-19" にて、リベラルアーツ研究教育院の山元啓史教授らの研究「日本の平安・鎌倉期の歌ことばの研究のための八代集のオープンソースデータ」が、同学会のポスタープレゼンテーション賞「東京大学史料編纂所デジタル・ヒューマニティーズ・ポスター賞」を受賞しました。 日本デジタル人文学会は、2010年発足の日本初のデジタル手法を用いた人文学研究の国際学会で、ヨーロッパデジタル人文学会など全世界のデジタル人文学会の研究拠点となっています。 また、東京大学史料編纂所は、1793 年(寛政5年)、国学者塙保己一は幕府の援助をうけて開設された和学講談所に端を発しており、現在は「日本史史料の研究資源化に関する研究拠点」として認定され、大学共同利用機関として日本の古代・中世・近世などの史料を編纂しています。日本デジタル人文学学会・東京大学史料編纂所は今回はじめて、学会発表の優秀賞を授けました。 山元啓史教授は、古今和歌集から新古今和歌集にいたる勅撰和歌集・八代集の研究を2000年より行っており、20余年にわたる研究がこのたび表彰されることになりました。また、共同研究者のホドシチェック・ボル准教授(大阪大学)は東工大で博士の学位を得て、2012年より、山元教授とともに、古代語の研究を行ってきました。 長年積み上げてきたコンピュータ・プログラムとデータセットをインターネットにアップロードするとともに、データ処理手続きをデジタル人文学の初心者にも扱いやすい形式で、実習できるショーケースとして公開したことが今回の受賞となりました。
20年ほど前から行っている研究で、技術自体は当時のものと変わっていませんが、デジタル人文学が世に知られるにつれて、この領域の研究の重大さが認識され、うれしく思っております。技術の発展というよりも、この領域の研究がかなり広い範囲での学際領域であることと、さまざまな著作権をクリアして公開に踏み切ることが常識的に行われるようになったことが大きな進歩だと考えています。全世界のさまざまな研究者が私たちのデータを使って、日本の古典文学・古典語の研究が一層活発に行われることを願っております。そして、日本の言語文化が全世界のさまざまな言語文化と比較され、議論されることを願ってやみません。