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川名晋史准教授が『共振する国際政治学と地域研究』で手島精一記念研究賞・著述賞を受賞

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2020.03.05

リベラルアーツ研究教育院の川名晋史准教授が、編著『共振する国際政治学と地域研究ー基地、紛争、秩序』(勁草書房刊、2019年1月発行)で、手島精一記念研究賞・著述賞を受賞し、2020年2月27日に東工大蔵前会館くらまえホールにおいて授賞式が行われました。

川名晋史准教授のコメント

川名晋史准教授

国際政治学と地域研究は似て非なる学問です。
有り体にいえば、前者は特定の地域を一般的な理論を構築するための手段(ケース)として用います。一方、後者は特定の地域を理解することそれ自体が研究の目的です。このように両者は目的が異なりますから、研究者のレベルでもほとんど交流はありません。しかし、そのような「棲み分け」は弊害ももたらしました。とくにグローバリゼーションの進展によって、「国家」や「地域」を閉鎖的な空間として設定することができなくなった90年代以降、それが顕著になったと思います。ですから、今、両分野の接合や協同は研究者にとっての重要な挑戦になっています。
この研究ではそうした問題意識をもつ国際政治学と地域研究の研究者が3つの共同研究を立ち上げて、両分野を架橋し得る研究アプローチを模索しました。

言うは易しですが、これは大変な作業です。

結局のところ、研究者どうしの関係が良好でないとうまくいきません。「そんな属人的な」と叱られるかもしれませんが、大事なのはそこなのです。同じ「地域」をみていても、ほんの少しアプローチが違えば、自分はただの素人です。そのことを自覚し、傲慢な自分と向き合い、異なる作法やしきたりを尊重する姿勢が何よりも重要です。幸い、このプロジェクトではそれが成立していました。
この賞は、共同研究者たちのそうした謙虚さに対して与えられたものだと思っています。

『共振する国際政治学と地域研究―基地、紛争、秩序』について

『共振する国際政治学と地域研究―基地、紛争、秩序』

『共振する国際政治学と地域研究
―基地、紛争、秩序』

「今日の我々はグローバリゼーションの急速な進展と他方での地域主義/国家主義への揺り戻しの中に生きている。本書は、国際政治学と地域研究の協働、すなわち、グローバルな問題が地域にいかなる波及効果をもたらし、そこでの様態と反応が逆にいかにどの程度グローバルな世界に影響を及ぼしうるのかを解明する。」

(勁草書房、「共振する国際政治学と地域研究」http://www.keisoshobo.co.jp/book/b427792.html)

手島精一記念研究賞について

手島精一記念研究賞は、1917年に財団法人手島工業教育資金団によって設けられた、東工大関係者の研究や著述を奨励し、その優れた業績の栄誉を称えるものです。手島工業教育資金団は、東工大の前進である東京工業学校及び東京高等工業学校の校長を25年間にわたって務め、日本の工業教育の進展に多大な貢献をされた手島精一先生の退官にあたり、その功績を記念し、1916年に政財界、教育界の名士が発起人となって設立されました。現在、同賞には、研究論文賞、博士論文賞、留学生研究賞、発明賞、若手研究賞(藤野・中村賞)、著述賞の6つの部門賞が設けられています。

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