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本学学生がアクセラレーションプログラムでGAPファンド審査員特別賞を受賞

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2025.01.21

東京科学大学(Science Tokyo) 生命理工学院 生命理工学系 山田研究室の佐藤龍飛さん(修士課程2年)のチーム(株式会社grubio)と同研究室の千葉のどかさん(博士後期課程3年)および生命理工学院 松浦研究室の小山歩さん(修士課程2年)のチーム(BitaP)が、9月30日に開催されたアクセラレーションプログラム「Tokyo Technology Commercialization Program」(主催:株式会社日本総合研究所。以下「TTCP」)の「中間発表会・GAPファンド[用語1]審査会」でピッチを行い、GAPファンド審査員特別賞を受賞しました。

2024年10月1日に東京医科歯科大学と東京工業大学が統合し、東京科学大学(Science Tokyo)となりました。

GAPファンド審査員特別賞を受賞した佐藤さん(左)と千葉さん(右)

アクセラレーションプログラムとは、スタートアップや中小企業、起業家などを対象に、短期間で事業を成長させるためのプログラムで、アクセラレーターと呼ばれる支援者との定期的な面談を通して、事業アイディアや新規ビジネスの検証・精査を行うものです。TTCPは、東京都内の大学、研究機関、企業等の技術シーズを活用し起業を目指すチームおよびシード・アーリー期のディープテック[用語2]スタートアップを対象に、ギャップファンドが与えられるアクセラレーションプログラムです。今年7月に書類審査を通過した18チームが中間発表会・ギャップファンド審査会にて6分間のピッチを行いました。

佐藤さんは、「バイオ×AI領域の人材・データ利活用の課題を解決するコンペティションプラットフォーム」の事業を提案しました。バイオ×AI領域は世界全体で注目が集まっており、日本政府も重点領域として挙げています。しかしながら専門性が非常に高く、スキルの可視化が難しく、適切な企業と求職者のマッチングができていない状況に加え、人材不足の影響も受け、データ利活用が十分に行われていない状況にあります。そこで、参加者が競い合いながら大規模なAI開発を行うコンペティションプラットフォームの構築により、これらの課題を解決する事業を提案しています。与えられた課題に対して、AI開発を行うことで評価指標に基づいた順位付けが可能となり、特定のスキルを持った人材が可視化されます。またコンペティションを通じたAI開発も並行して行われます。

佐藤さんが立ち上げた株式会社grubioはバイオ・ヘルスケア×AI領域のコミュニティも有しており、コミュニティとの相互連携によるさらなる拡大を目指しています。また、同コミュニティは学生、社会人問わず参加が可能です。バイオ・ヘルスケア領域における「分野を超えた研究者の交流」「アカデミアと産業の橋渡し及び循環」という2つのミッションを達成するために活動しています。

「バイオ×AI」領域の課題を説明する佐藤さん

千葉さんは、「おなかによい!パーソナライズ食の提供」事業の提案をしました。千葉さんが所属する山田研究室では、腸内細菌と疾患や健康との関連性の解明を目指した研究をしており、今回受賞した事業アイディアは研究室でのシーズを応用した内容です。アイディアの背景には、人工甘味料(糖アルコール)での過剰な腹痛や特定の食品による胃腸の不調を起こすなどの体質の人が一定数いることが挙げられます。近年の研究から、それらの不調をきたす人の腸内環境には特徴があることが指摘されています。そこで千葉さんのアイディアでは、食の楽しみを妨げてしまう体質の悩みを、腸内環境にアプローチする食事によって解消することを目指しています。世界中の腸内細菌研究によってエビデンスが示された食品とその効果のデータから独自のデータベースを構築し、腸内細菌を考慮した献立を作成するシステムを強みとしています。中間審査では、腸内環境にアプローチする献立作成システムで献立を作成し、実際に「おなかによいお弁当」としてテスト販売したイベントの実績などが評価されました。

事業の内容を説明する千葉さん

受賞者コメント

佐藤さん:
「今回ご支援いただくギャップファンドにより、本事業のMVP(Minimum Viable Product)検証[用語3]を実施し、日本のバイオ産業がより発展する未来を実現させたいです」
佐藤さん:
「今回ご支援いただくギャップファンドにより、本事業のMVP(Minimum Viable Product)検証[用語3]を実施し、日本のバイオ産業がより発展する未来を実現させたいです」
千葉さん:
「今回のギャップファンドを用いて実証やニーズ調査を進め、食の楽しみと健康の両立が実現する世界を目指していきたいと思います。」
千葉さん:
「今回のギャップファンドを用いて実証やニーズ調査を進め、食の楽しみと健康の両立が実現する世界を目指していきたいと思います。」
  • 用語説明

[用語1] ギャップファンド:大学が、自律的かつ機動的に大学研究室へ比較的少額の開発資金(試作開発・試作テスト資金など)を供与して大学の基礎研究と事業化の間に存在するギャップ(空白・切れ目)を埋めることにより、大学先端技術の技術移転や大学発ベンチャー創出を促していく基金。

[用語2] ディープテック:社会課題を解決して私たちの生活や社会に大きなインパクトを与える科学的な発見や革新的な技術。

[用語3] [用語3] MVP(Minimum Viable Product)検証:製品開発におけるフェーズの一つであり、必要最低限の機能を搭載したサービスやプロダクト(製品)をユーザーに提供し、課題や改善点などのフィードバックを受けて、その内容を製品の機能改善に役立てること。

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E-mail contact@mail.comp.bio.titech.ac.jp

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