生命理工学系 News
生命理工学院は、World Research Hub Initiative(WRHI)共催による研究フォーラム「Frontiers of Genome Editing」を2019年2月12日すずかけ台キャンパスすずかけホールにて開催しました。WRHIは、新たな研究領域の創出、人類が直面している課題の解決、将来の産業基盤の育成を目標に掲げ、東工大が「世界の研究ハブ」になることを目指した国際共同研究を推進するプロジェクトです。今回、進展著しく社会的関心も高まっているゲノム編集技術に焦点をあて、国内外の著名な研究者・技術者をお招きした研究フォーラムを開催しました。
最初に(株)カネカの濱田晴康博士から、ゲノム編集技術を利用した有用作物の高効率形質転換に関する発表を行っていただきました。濱田博士らは、多数の操作が必要であった作物へのDNA導入を大幅に簡略化することに成功し、この技術開発により植物細胞分子生物学会技術賞など3つの賞を昨年受賞しています。ゲノム編集技術の応用には、DNA導入の高効率化など周辺技術の開発が重要であることを再認識する発表でした。
次に、Vilnius University(リトアニア)のVirginijus Šikšnys教授にご講演いただきました。Šikšnys教授は、細菌のウィルス(バクテリオファージ)感染防御システムでありゲノム編集技術にも応用されているCRISPR-Casの研究に取り組んでおられ、その成果により2018年の Kavli Prize in Nanoscienceを受賞されています。講演では、CRISPR-Casの基礎からゲノム編集技術への応用についてバックグラウンドを交えてご紹介いただきました。CRISPR-Casはさまざまな生物種のゲノム編集に利用されていることもあり、参加した教員や学生も興味深く聴講しました。
最後に、今年、本学院の特任教授として招聘したインペリアル・カレッジ・ロンドンのMark Isalan教授にご講演いただきました。Isalan教授は、Zincフィンガータンパク質の工学的応用を専門とする合成生物学の第一人者です。今回は、タンパク質工学を用いた改変型Zincフィンガーペプチドを難病モデルマウスに投与し、その症状を和らげることに成功した例を中心にお話いただきました。プロテイン・エンジニアリングが臨床へ応用されうる例として非常に興味深い研究でした。
多数の学生と教員が本フォーラムに参加し、活発な質疑応答が行われ、講演後の懇親会も盛況でした。ゲノム編集技術がどのように生まれ、現状どのように活用されているのかを知る良い研究フォーラムとなりました。
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