融合理工学系 News
エネルギー、バイオ燃料とAI教育
融合理工学系では、化学工学、機械工学、電気・通信工学、土木工学、生物工学、さらには環境政策・計画学、応用経済学、社会学、翻訳学、応用言語学までを包含した広い分野を融合し、異なる専門分野をもつ教員が相互の専門性と多様性を尊重しつつ、様々な学問領域を社会問題の解決という観点から結びつけた超域的教育を推進しています。
研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、環境エネルギー政策、燃料、教育などの分野の研究を行う、クロス研究室です。
研究分野 | 化学工学 / 材料工学 / バイオ燃料 / AI教育 / エネルギー政策 |
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研究キーワード | バイオマス工学 / 教育工学 / エネルギー政策 |
Webサイト | クロス研究室![]() |
右の図に描かれている3体問題について聞いたことがありますか?
3体問題とは、運動している3つの粒子または物体の位置に関連する解の数は無限にあるという古典力学の問題です。クロス研究室も3体問題と同様に機能しています。実際に、我々の研究室は独立しているが相互関連した3つの研究グループから構成されており、新たな研究の知識を生み出すためにジョイントラボセミナーで交流しています。私たちの研究室は、研究と技術/政策の開発や、グローバルなバイオ燃料エンジニア、国際的エネルギー政策の専門家、教育技術におけるAIの専門家を育成することを目的としています。近年では、海洋由来マイクロプラスチックの変換とマイクロファイバーの研究が程シャク助教によって進められています。
Prof. Cross with lab GEDES and Energy Course graduate students at the 2019 MISW workshop reception. GEDES D1 May Carlon (center) won the best presentation award.
我々の研究室は、研究を通じて限りない可能性を作り出すために挑戦しようと努力する学生の力によって、多様で包括的、変革的で革新的です。学生と訪問者のどちらも、真に国際的な研究と教育環境を経験し、異なる考え方を体感し、自らの興味に基づいたトピックについて研究を提案し、遂行することが出来るでしょう。
その結果として、我々の研究室に入った学生は、研究開発を日本の技術企業で行うとはどういうことなのかを学ぶことができ、また学生は大岡山キャンパスから離れることなく、11カ国から構成される研究室で国際的な研究環境も同時に得ることができます。実際に、英語を母語としない留学生や日本人学生は、研究室に入った後に、英語でのコミュニケーション能力、テクニカルな研究プレゼンテーション能力、アカデミックライティング能力を大きく向上させることができます。これはCOVID-19の時代に海外旅行が規制されている日本人学生にとって特に魅力的です。3つの研究グループの最近の研究活動については以下をご覧ください。
我々の研究室の教育工学におけるAI 研究グループでは、科研費の助成により、人工知能技術と従来の学習プロセスを組み合わせて学習効率を向上させることで、思考と学習メソッドの変革に取り組んでいます。また、グループメンバーはオンラインコースの質を最適化するための新しいコンピュータ技術の開発、個別化されたオンライン学習ソリューションの提供、チャットボットの開発、日本の小学校でのプログラミング教育に関する研究、カンボジアでの大学生の自己効力感に関する研究などを行っています。
エネルギー政策研究グループでは、世界で最も注目され、重要なテーマの一つであるエネルギー問題に関する生産・輸送・流通・経済・国際貿易の問題を探求し、先進的なコンセプトや政策提言を創造的に提案しています。国際エネルギー協力(日本、韓国、モンゴル)などのマクロ政策、ブルーカーボン、マイクログリッド、家庭用エネルギー消費削減などのマイクロ実用技術などがグループの研究範囲です。
バイオ燃料研究グループでは、廃棄物の流れを利用した再生可能エネルギー応用技術の研究開発に注力しています(下図)。具体的には、バイオ燃料の製造と改良、リサイクル可能な触媒の開発、新たな環境汚染物質(海洋マイクロプラスチック)の捕捉と処理などの研究を行っています。研究チームは、従来の固定床式熱分解反応器と流動床式熱分解反応器のほか、高圧反応器、プラズマ反応器、分析装置などの新しい実験装置を保有しており、実験や特性評価のニーズに対応しています。
クロス教授は、米国で育ち、3つの大学で化学工学の学位を取得しました。日本では25年以上、つくば市の政府系研究所、厚木市の富士通研究所、東工大大岡山キャンパスに勤務しました。富士通研究所では、誘電体キャパシタの半導体および信頼性技術の開発に従事し、約37件の特許を保有しています。日本語の読み書きはもちろんのこと、日本語での会話にも堪能です。
研究室では、新入生が自らの斬新な研究プロジェクトを提案・指示し、その成果を発表することが奨励されています。研究室の雰囲気は、アメリカと日本の両方の働き方をサポートし、アウトプットを重視しています。日本人学生や留学生は、アメリカ英語でのコミュニケーション能力や論理的思考力を身につける絶好の機会となっています。詳細については、クロス教授や程シャク助教までメールでお気軽にお問い合わせください。
更新日:2020.09.23
※2020年9月23日 本文の内容を最新情報に更新いたしました。
※この内容は更新日時点の情報です。最新の研究内容については研究室サイトをご覧ください。