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機械系が工学リテラシーの改革で工学教育賞を受賞

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2024.10.04

一年生向けの授業「工学リテラシー」を機械系では改革し、工学教育賞を受賞しました。

受賞概要

受賞者:
八木 透 教授(代表者)、遠藤 玄 教授、前田 真吾 教授、
水谷 義弘 教授、赤坂 大樹 教授、中西 洋喜 准教授、
三浦 智 准教授、髙山 俊男 准教授、松浦 大輔 特任准教授、
干場 功太郎 助教
八木 透 教授(代表者)、遠藤 玄 教授、前田 真吾 教授、水谷 義弘 教授、赤坂 大樹 教授、中西 洋喜 准教授、三浦 智 准教授、髙山 俊男 准教授、松浦 大輔 特任准教授、干場 功太郎 助教
受賞名:
東工大工学教育賞
題目名:
ロケット・ロボット・ドローンによる機械系のリテラシー教育改革
受賞日:
2024年8月29日
  • 受賞者のコメント

この度は名誉ある賞を賜りまして大変光栄に存じます。この度の改革は機械系の魅力が少しでも多くの学生に伝わるように尽力致しました。当受賞を励みに益々精進して参ります。

対象となる教育業績の特徴

「工学リテラシー」は工学院の初年次授業であり、工学院所属の5系が各々工夫した内容を展開している。機械系では「実世界(ハードウェア)と数理のつながり」を念頭に、2年次以降に学修する機械工学へのつながりを魅せるべく、従来のリテラシー授業の内容を令和5年度に刷新した。科学技術に対する学生の好奇心を鼓舞するため、新たな内容として以下の3テーマを用意した。これらはいずれもリアルとバーチャルの融合を図ることで、五感で実体験できる教育内容である。 ※[参考資料]参照

水力ロケット:一般的なペットボトルロケットコンテストのように試行錯誤によって飛行距離を競うものではなく、水力ロケットについての理論(4力学)を高校数学・理科で理解できる範囲で紹介し、シミュレーションにより各種解析・実験を体験する。授業最終日には、本学グラウンドにて打ち上げコンテストを開催し、シミュレーションで求めた目標位置への到達に必要な水量・圧力・発射角等を調整して、その打ち上げ精度を競う。理論がどのように現実世界に干渉するのかという機械工学の醍醐味を、スピードとパワーを体感しつつ学べるように教材および授業を設計した。

ロボット:市販の教育用ロボットは価格の制約上、1~2個のモータとリンク機構により定型動作を行う組立キットか、差動2輪駆動の車輪型ロボットが主である。しかし、その動作原理は単純すぎて、工夫や改善の余地が少なく面白みがない。一方、学生が楽しんで参加でき、かつ記憶に長く残るものとして、本授業では遠藤玄教授が開発してきた魚やヘビがくねることによって進む原理(グライド推進)に着目したロボットの設計製作を行う。1個のRCサーボモータで頭と尻尾をくねらせて前に進み、曲がることもできる本ロボットを、単に製作するだけでなく、直観的ではないノンホロノミックなロボットの運動に対して、コンピュータシミュレーションを用いて実空間と仮想空間上の動作を比較検討する。そして最終日の走行コンテストにてロボットの性能を競う。

AIドローン:市販のホビー用ドローンに機械学習による物体認識機能と運動制御を付与することで、高度な情報技術を既存の工学技術に応用する実践的体験を提供する。「AIドローン」と命名したこのドローンシステムの設計製作授業では、機械学習によるモデル生成の基本原理を学習した後、ドローンの実飛行を通してフィードバック制御の基本原理を学ぶ。そして学生自らが深層学習で推定モデルを構築し、そのモデルを用いてドローンが自律的に実物のマーカー(バナナや鬼の面など)を実時間で撮影・推定して、競技コース内を巡回するシステムを製作する。製作したAIドローンの自律飛行を最終回までに繰り返し行い、実時間での画像識別と実体を用いたモデル構築を通じて、実世界におけるAIの活用について学ぶ。

機械系が工学リテラシーの改革で工学教育賞を受賞

[参考資料]

 教育効果等

本授業を通じて「実世界(ハードウェア)と数理のつながり」を五感で学ぶことができ、高度な情報技術を既存の工学技術に応用する実践的体験を得られる。

  • 高校数学・理科で理解できる範囲で授業を展開
  • 手を動かす機会を提供することで、学生の経験およびものづくりに対する好奇心を涵養
  • 何度も試行錯誤できる機会を提供することで、失敗を通じて問題の本質を学ぶ実践学修

なお2023年度の学生の満足度調査では、「大変満足」が全体の約50%、「満足」が約40%であり、全体の約90%は授業内容に満足していることが分かった。

 その他(特記事項)

上記3テーマ全てが本学教職員によるオリジナルで、既存キット等を用いたものではないため、昨今の学生のニーズや技術発展に合わせて柔軟に適用可能である。ハンズオンワークだけでなく、理論的裏付けを重視するアクティブラーニング授業であり、バーチャルな環境に慣れた今の学生たちに実物を触らせることで驚きや発見を促し、学生の観察力・実践力の涵養を目指した内容となっている。

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