リベラルアーツ研究教育院 News
環境・社会理工学院西田研究室にて「社会科学系ゼミ(政策とメディアの社会学)」を履修した藤田創さん(生命理工学院 生命理工学系 3年生)が「住友理工学生小論文アワード」(第4回)で優秀賞を受賞しました。藤田さんは生命科学を専攻しながら、西田研究室で社会学と公共政策学を学び、2018年の同科目自主課題として取り組んだ同論文コンテストにおいて上記の成果を挙げました。新しい文理融合型教育の成果のひとつでもあり、大変嬉しく思います。リベラルアーツ研究教育院で開講されている「社会科学系ゼミ(政策とメディアの社会学)」は、すべての学部生が選考を経て履修可能な科目で、西田研究室で社会学、公共政策学を専攻する修士課程、博士課程の大学院生たちとともに社会学、公共政策学の学習、実践、研究を行う科目です。
准教授 西田亮介(リーダーシップ教育院/リベラルアーツ研究教育院)
【藤田さんのコメント】
今回のコンテストのテーマは、「SDGs時代の新しい企業経営のあり方の提案」でした。執筆にあたって、他の応募者の方々は、哲学や経営理念の再考に重きを置くだろうと推測し、理工系の学生しか思いつかないようなユニークさで勝負しようと思い立ちました。そこで私は、具体的なプロダクトをまず初めに構想し、その構想に様々な企業を巻き込んでいくアプローチを採りました。
そのアプローチが功を奏し、今回優秀賞をいただけたことは大変嬉しく思いますが、それと同時に、外にもっと出て、より多くの人と接し、現場でしか分からないことを学び取りに行かないといけないと強く感じました。本稿では、主に途上国のトイレ環境と排泄物処理方法の改善について論じてきましたが、文献からは読み取ることのできないことが数多くありました。
私は現在、iGEM TokyoTechというサークルにて合成生物学に関する研究を行う傍ら、社会科学系ゼミにて西田亮介先生に師事してきました。これからも、由緒ある理工系大学のプライドを持って研究に専念すると共に、現代社会の仕組みについての理解を養う場として、ゼミでの学習により一層励んでいきたいと思います。
【論文タイトル】
“便”益が提案する、SDGsとの向き合い方
【論文要約】
これまで企業は各々の観点から、CSRやCSVの一環として、社会的課題の解決に取り組んできた。そして近年、SDGsの達成度評価が、こうした取り組みの成果を測る尺度として導入されつつあり、SDGsを起点としたオープンイノベーションの動きも見られる。筆者はこうした新たなエコシステムが構築される前提として、各企業がSDGsを参照点としながら、自発的に課題を発見し、他の企業を巻き込んでいく努力をすることが必要であると考えている。その問題意識を念頭に置いて、本稿では、企業にとっての新しい価値を「複数のカテゴリーに属する社会的課題を、一つのプロダクトを通して解決すること」とし、その具体例として、循環型公衆トイレ「BenFit」を提案するに至った。