リベラルアーツ研究教育院 News
ILA/環境・社会理工学院西田研究室にて「社会科学系ゼミ(政策とメディアの社会学)」を履修した藤田創さん(生命理工学院 生命理工学系 2年生)が野村総研「NRI学生小論文コンテスト」で奨励賞を受賞しました。藤田さんは生命科学を専攻しながら、西田研で社会学と公共政策学を学び、2017年の夏季休業期間中の同科目課題として取り組んだ同論文コンテストに「地方を変える、バクテリア探索アプリ『BactoFinder』」という論文を投稿しこのような成果を挙げました。教育改革後の新しい文理融合型教育研究の成果のひとつでもあり、大変嬉しく思います。学部の「社会科学系ゼミ(政策とメディアの社会学)」は、西田研究室の社会学、公共政策学を専攻する修士課程、博士課程の大学院生たちとともに社会学、公共政策学の研究、学習を行う科目です。
【藤田さんコメント】
私はiGEM TokyoTechというサークルにて合成生物学に関する研究を行う傍ら、社会科学系ゼミにて西田亮介先生に師事しています。今回のコンテストでは、研究とゼミの双方から得た知見を活かして、市民参加型のバクテリア探索アプリ「BactoFinder」の製作・普及を提案しました。本プロダクトでは、近年流行しているゲーミフィケーションの要素や既存の研究機関の設備などを活用することで、より多くの人がバクテリアへの関心を高め、それによって地方の産業の振興や研究競争力の向上を狙いとしています。これからも、由緒ある理工系大学のプライドを持って研究に専念すると共に、現代社会の仕組みについての理解を養う場として、ゼミでの学習により一層励んでいきたいと思います。
【論文要約】
我々は地球上に存在する微生物のわずか1%しか未だに発見できていない。そして近年、理科教育の重要性が急速に高まっている。こうした未知のバクテリアの探索と科学コミュニケーション促進のための方策として、バクテリア探索アプリ「BactoFinder」の製作・普及を提案する。ユーザーが採取した土壌サンプル中に含まれる微生物を地元の大学で解析し、その結果がアプリに反映されるというのが、基本的な機能であり、これに加えてゲーミフィケーションの要素も盛り込んでいきたいと考えている。また新規有用微生物が発見された際には、ユーザーに対して特別オーナーシップが付与される。このアプリの運用は、地方創生の文脈において、非常に重要な役割を担うと考えている。第1に、地方国立大学の研究競争力の向上、第2に、都市部と地方との間にある理科教育へのアクセスの差の解消、第3に、地方の食品製造業の振興に繋がると考えている。バクテリアの多様性は地方にとって強みであり、BactoFinderの普及を通して、地方創生が加速化していくことが期待される。