研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介します。今回は、環境と資源の問題を解決する革新的原子力システムと福島第一原子力発電所の安全な廃止措置のための研究を行う、小原研究室です。
原子核工学コース
研究室:大岡山キャンパス・大岡山北1号館208号室
教授 小原徹、助教 西山潤
- 構成(2021年7月 現在):
- 学士課程 3名、修士課程 2名、博士後期課程 1名、
研究員 1名、事務支援員 1名
研究分野 |
革新的原子力システム / 原子力安全 / 原子炉物理学 |
研究キーワード |
ブリードバーン高速炉 / 臨界安全 / 数値シミュレーション |
Webサイト |
小原研究室 |
研究テーマ
回転型燃料シャッフリングブリードバーン高速炉(RFBB)研究
天然ウランや劣化ウランを燃料とし再処理施設を必要としない回転型燃料シャッフリングブリードバーン高速炉(RFBB)の概念研究を行っています。RFBBは図1のように燃料を移動させることで、自分の原子炉内で燃料の転換と燃焼をおこない、少ないウラン燃料から多くのエネルギーを発生し、使用済み燃料の発生量を少なくすることができます。数値シミュレーションで様々な検討を行っています。
福島第一原子力発電所燃料デブリ取出し時の臨界安全確保のための研究
福島第一原子力発電所の廃炉に欠かせない燃料デブリ取出し時に偶発的に燃料デブリが臨界にならないことを確認するため燃料デブリ水中落下シミュレーションと中性子輸送モンテカルロカルロ計算を組み合わせたシステムの開発を進めています。また万一事故が起きた場合の有効な対策を検討するための手法の開発も進めています。図2は燃料デブリ粒子の水中落下シミュレーションと臨界性評価解析例。
出版リスト
代表論文:
(2021年7月現在の最新の論文リスト。全体はT2R2参照。)
- [1] Van Khanh Hoang, Odmaa Sambuu, Jun Nishiyama, Toru Obara, “Feasibility of Sodium-Cooled Breed-and-Burn Reactor with Rotational Fuel Shuffling”, Nuclear Science and Engineering, published on line, July (2021).
DOI : https://doi.org/10.1080/00295639.2021.1951063
- [2] Hiroki Takezawa, Delgersaikhan Tuya, Toru Obara, “Calculation of Transient Parameters of the Integral Kinetic Model with Delayed Neutrons for Space-dependent Kinetic Analysis of Coupled Reactors”, Nuclear Science and Engineering, published on line.
DOI : https://doi.org/10.1080/00295639.2021.1920797
- [3] Takeshi Muramoto, Jun Nishiyama, Toru Obara, “Characteristics of reactivity change as fuel debris falls in water”, Progress in Nuclear Energy, Vol. 139, 103857 (2021).
DOI : https://doi.org/10.1016/j.pnucene.2021.103857
- [4] Kodai Fukuda, Jun Nishiyama, Toru Obara, “Supercritical Transient Analysis for Ramp Reactivity Insertion Using Multiregion Integral Kinetics Code”, Nuclear Science and Engineering, Vol. 195, pp.453-463 (2021).
DOI : https://doi.org/10.1080/00295639.2020.1847979
- [5] Hoang Hai Nguyen, Jun Nishiyama, Toru Obara, “Optimization of reactor size in the small sodium-cooled CANDLE burning reactor”, Annals of Nuclear Energy, Vol. 153, 108040 (2021).
DOI : 10.1016/j.anucene.2020.108040
教員からのメッセージ
小原研究室では、既存の確立した技術にとらわれることなく、原子炉には何がどこまでできるのかを数値シミュレーションで追及する研究と福島第一原子力発電所の廃炉作業の安全確保のための研究を行っています。柔軟な発想と旺盛な好奇心をもった学生を歓迎します。
※この内容は掲載日時点の情報です。最新の研究内容については研究室サイトをご覧ください。