西條研究室 -研究室紹介 #17-
コミュニケーションデザインによるイノベーションの普及
研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介します。今回は、「社会に新たな価値を創出する道具を人と共にデザインする」研究活動を行う西條研究室です。
エンジニアリングデザインコース
研究室:大岡山キャンパス・北3号館 405号室
教授 西條美紀、助教 大橋匠
- 構成(2021年5月現在):
- 修士課程 8名、博士後期課程 1名、教務支援員 1名
研究分野 |
イノベーション普及研究 / コミュニケーションデザイン / 計画的行動理論 / 談話分析 |
研究キーワード |
コミュニケーション / 介護 / 畜産 / デザイン思考 |
Webサイト |
西條研究室 |
研究室のアピールポイント
西條研究室では、「社会に新たな価値を創出する道具を人と共にデザインする」をコンセプトに研究活動を推進しています。子供から高齢者まで様々な人々が暮らす社会を誰もが幸福を追求できる場所にするために、新しい道具で社会課題を解決する手伝いをしたいのです。ここでいう「道具」はものに限りません。知識やサービスも含まれます。社会に存在する問題は複雑に絡み合っており、テクノロジー主導の考え方や限られた専門性からの近視眼的なアプローチでは、社会課題解決に貢献できないでしょう。当研究室では、地方自治体、産業界、様々な専門性を有する研究者らと協働し、現実のフィールドの問題に関与し、課題を抽出し、分析し、その結果を現場に戻しながら、人々とともに新しい道具による解決策を実装するアクションリサーチを行っています。
研究テーマ
介護現場での重大事故予防に向けて
2025年には、日本の高齢化率(65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合)が30%に到達し、同時に、介護者が32万人不足すると予測されており、今後、介護者の負担がますます深刻になると予想されます。高齢者の方々へ行き届いたケアを実現することと、介護者の方々の負担をできる限り低減することが喫緊の課題であり、これらの両立には技術によるサポートが欠かせません。当研究室では高齢者の日常生活行動における重大事故予防に向けて、センシング技術の活用方法とフィードバック方法の開発を行っています。
デイケア施設での参与観察の様子
- ※参与観察は新型コロナウイルス感染症蔓延前の2019年に実施しました。
持続可能なスマート畜産の実現に向けて
世界人口の増加や開発途上国の生活水準向上により、畜産物需要は増大しており、生産性向上が急務です。しかしながら、従来行われてきた集約的な畜産(≒多数の家畜を狭いスペース管理すること)の環境負荷、食の安全性、倫理性への懸念から、アニマルウェルフェア(AW: 家畜福祉)に配慮した生産方式の普及が求められています。一方、畜産現場を見ると担い手不足(高齢による離農や若者の農業離れ)が深刻であり、省力化しつつも家畜にとって良い環境で精密に管理することが重要です。当研究室では、デザイン思考をベースとした家畜センシング技術のUI/UXデザインおよび、AWに配慮した畜産物の消費意図向上施策のデザインを2本の柱として、分野横断的な研究を行っています。
タイ王国におけるフィールドワークの様子
酪農現場における参与観察の様子
出版リスト
代表論文:
- [1] M. Saijo, "Structure of centre of attention in a multi-party conversation in Japanese," Meta-informative Centering in Utterances: Between Semantics and Pragmatics 143, 183 (2013).
DOI : https://doi.org/10.1075/slcs.143.09sai
- [2] S. Kawamoto, M. Nakayama, M. Saijo, “A survey of scientific literacy to provide a foundation for designing science communication in Japan,” Public Understanding of Science 22, 6, 674 (2013).
DOI : https://doi.org/10.1177/0963662511418893
- [3] T. Washio, T. Ohashi, M. Saijo, “What Promotes Intention? Factors Influencing Consumers’ Intention to Purchase Animal-Welfare Friendly Beef in Japan,” Communications in Computer and Information Science 1297, 536 (2020). DOI : https://doi.org/10.1007/978-3-030-66196-0_25
- [4] T. Ohashi, M. Watanabe, Y. Takenaka, M. Saijo, “Real-Time Assessment of Causal Attribution Shift and Stay Between Two Successive Tests of Movement Aids,” Integrative Psychological and Behavioral Science (2021).
DOI : https://doi.org/10.1007/s12124-020-09592-7
主な著作:
- [1] 西條美紀, 『コミュニケーションデザイン』, くろしお出版,(2014)
- [2] 西條美紀, 『談話におけるメタ言語の役割』, 風間書房, (1999).
教員からのメッセージ
当研究室に所属する学生は、ゼミ(1対多人数)とチュートリアル(1対1)で、徹底的に考えを深めていきます。様々なバックグラウンドを持つ人と対話的に物事を進めながら、自分の関心事を深めていきたい方を広く募集しています。
※この内容は掲載日時点の情報です。最新の研究内容については研究室サイトをご覧ください。