融合理工学系 News

高橋邦夫研究室 -研究室紹介 #15-

力学・材料科学・電磁気学を駆使した応用工学

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2021.05.14

研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介します。今回は、表面、界面、接着、および接合プロセスについて物理的に理解し、持続可能な世界のための科学技術の研究を行う、高橋邦夫研究室です。

高橋邦夫 教授

主担当:地球環境共創コース、副担当:エネルギーコース、エンジニアリングデザインコース
研究室:大岡山キャンパス・石川台4号館 201号室
教授 高橋邦夫別窓、助教 ヘムタビー パソムポーン別窓

構成(2021年5月現在):学士課程 3名、修士課程 4名

研究分野 材料力学 / 表面科学 / 環境発電 / プラズマ
研究キーワード 凝着・接合 / 生物模倣 / 制御 / 界面
Webサイト 高橋邦夫研究室別窓

研究室のアピールポイント

界面に関わる現象を物理的に理解し応用を考える研究室です。固体間凝着現象の解明と応用、生物機構の解明や模倣、環境発電、微小プラズマ等に取り組んでいます。専門分野にとらわれない融合理工学を実践しています。

研究テーマ

固体間凝着現象の解明と応用

ヤモリやクモが用いるメカニズムを物理と数学で理解し、それに基づいた把持デバイスへの応用等を研究しています。材料力学や材料工学や制御工学等に立脚した研究です。目的に応じて把持デバイスやその駆動系や計測系等も自作しています。各学生が各々独自の着眼点からオリジナリティある研究をしています。これらの研究は、災害救助ロボットの足、真空中での半導体搬送用の把持機構、宇宙における船外活動、等への応用が期待されています。

把持デバイス

小規模エネルギーハーベスティング

大規模な環境発電は既に実用化されていますが、広い場所や大きな設備を要します。もし、小さな発電機器を各家庭のコンセントにさして節電できれば、十ワット程度の機器でも1000万世帯で100メガワットの出力になります。さらに脱炭素化を推進できるハズです。発電デバイスは最大出力状態で制御されていますが、普通のPCでは発電電力より多くの電力を消費してしまうのでPICで制御します。各学生が独自の着眼点から回路を設計し制御方法等を検討しています。

発電デバイス

微小プラズマの応用

溶接に用いられるプラズマよりもさらに小さいプラズマの微小加工や表面処理等への応用が期待されています。プラズマにはグローとアークがあり、それをスタートし(絶縁破壊)安定に持続させるには電源特性も重要なので、独自の着眼点から電源回路を設計する学生も居ます。絶縁破壊のメカニズムを利用してプラズマスタートの方式を変えることができれば、世界中で用いられる膨大な数の溶接機の価格を半分にできるかも知れません。

プラズマ発生器図面(左)とプラズマ発生の様子(右)

研究成果/研究詳細

下記に動画等があります。詳細は論文を参照のこと。

出版リスト

代表論文:

  1. [1]  Kunio TAKAHASHI, et.al., "A simple formula for surface energy by a shifted step-potential approximation", Physical Review B, vol.48, No.8, p.5689-5691(1993) DOI : 10.1103/PhysRevB.48.5689別窓
  2. [2]  Kunio TAKAHASHI, et.al., "Influence of the stiffness of the measurement system on the elastic adhesional contact", Journal of Adhesion Science and Technology, Vol.9, No.11, pp.1451-1464 (1995)
    DOI : 10.1163/156856195X00121別窓
  3. [3]  Kunio TAKAHASHI, et.al., "Calculation of surface energy and simulation of reconstruction for Si (111) 3X3, 5X5, 7X7, and 9X9 DAS structure", Applied Surface Science, vol.151 ,no.3-4 , pp.299--301 ,(1999)
    DOI : 10.1016/S0169-4332(99)00295-0別窓
  4. [4]  Kunio TAKAHASHI, et.al., "Voltage Required to Detach an Adhered Particle by Coulomb Interaction for Micro-Manipulation", Journal of Applied Physics, vol.90, no.1, pp.432--437, (2001)
    DOI : 10.1063/1.1379353別窓
  5. [5] Kunio TAKAHASHI, et.al., "Geckos' foot hair structure and their ability to hang from rough surfaces and move quickly", International journal of adhesion & adhesives, vol.26 , pp.639-643, (2006)
    DOI : 10.1016/j.ijadhadh.2005.12.002別窓
  6. 他・・・

主な著作:

  1. [1]  Kunio TAKAHASHI, "Embedded Atom Method: Theory, Development, and Application", Handbook of Theoretical and Computational Nanotechnology, Volume 2, Chapter 8, pp.317-369 Edited by Michael Rieth and Wolfram Schommers, ISBN: 1-58883-044-6, American Scientific Publishers, 2006
  2. 他・・・

教員からのメッセージ

  • 高橋邦夫 教授より

元来は機械系の研究室ですが、電気、材料、情報、等々…、役に立つものは何でも使います。全ての工学は応用科学です。分野を問わず、物理と数学に立脚してメカニズムを明らかにすれば、目的に応じた制御やマネジメントが可能になります。これからの時代、枝葉の知識は検索エンジンに任せれば良いので、個々の科学技術者には求められません。論理的に思考し、それを他人に説明できることが益々重要になります。基礎を勉強して下さい。想像力を大切に。

お問い合わせ先

教授 高橋邦夫

E-mail : takahak@tse.ens.titech.ac.jp

この内容は掲載日時点の情報です。最新の研究内容については研究室サイト別窓をご覧ください。

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