融合理工学系 News

長谷川研究室 -研究室紹介 #11-

プラズマ・量子ビーム科学で未来社会を拓く

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2021.01.15

研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介します。今回は、プラズマ理工学を基盤として,様々な量子ビームに関する基礎研究から,これらの量子ビームを役立てるための応用研究まで幅広い研究を行う、長谷川研究室です。

長谷川純准教授

原子核工学コース
研究室:大岡山キャンパス・北1号館 305号室
准教授 長谷川純別窓

構成(2021年1月現在):
学士課程 1名、修士課程 3名
研究分野 プラズマ科学 / 量子ビーム科学 / 核融合学 / 放射線物理
研究キーワード プラズマ / 量子ビーム / 慣性核融合 / 中性子源
Webサイト 長谷川研究室別窓

研究室のアピールポイント

長谷川研では,プラズマ理工学を基盤として,様々な量子ビーム(イオン,クラスター,中性子)の生成や制御に関する基礎研究から,これらの量子ビームを核融合エネルギーの開発や放射線利用技術の高度化に役立てるための応用研究まで幅広く展開しています。プラズマ理工学,量子ビーム理工学,原子分子物理,放射線物理など幅広い学問領域を背景に,学際的なアプローチで研究を行っています。実験装置や計測機器はどれも高度で緻密なものですが,その多くは学生たちが自ら設計・構築したものです。「ものづくり」の醍醐味を味わいながら最先端の科学を研究することで,物理工学の幅広い知識と経験が得られます。毎週の研究報告会や輪講では,活発な議論を通じて互いに切磋琢磨しています。このような研究活動を通じて,学生諸君が将来科学者やエンジニアとして社会で活躍する上で土台となる「理工系のものの考え方」を身につけてもらいたいと思います。

研究テーマ

慣性静電閉じ込め核融合を用いた小型中性子源の開発

高電圧グロー放電で生成した重水素イオンを静電的に加速し重水素分子に衝突させることで発生する2.45 MeVの核融合中性子を利用した小型中性子源を開発しています。中性子線の透過性の高さや核反応のしやすさを利用することで,爆発物の検知,トンネルや橋梁の健全性評価,地下資源探査,核廃棄物の高感度検出,中性子捕捉療法など,社会の安全安心や医療に関わる幅広い産業分野においてその利用が期待されています。

コンパクト中性子源試験装置

直線型IEC中性子源動作試験装置

レーザー生成高密度プラズマ流の磁気ノズル制御と高輝度イオンビームの生成

レーザーアブレーションにより生成した高密度プラズマ流に磁気ノズルを適用することでプラズマイオンの指向性を制御し,それを高輝度イオンビームの発生に応用する研究を実験および数値シミュレーション(Hybrid Particle In Cell法)により行っています。この技術を将来のエネルギー源として期待される重イオン慣性核融合炉のドライバー加速器やがん治療用重粒子加速器などへ応用することを目指しています。

HIFドライバー加速器

レーザー生成高密度プラズマ流

レーザーアブレーションによる金属/共有結合クラスターの生成

レーザーアブレーションにより生成したシリコンやアルミニウムの蒸気をキャビティ内に閉じ込めヘリウムガスにより急冷することで,クラスター(ナノ粒子)を効率的に生成する技術の開発をしています。高時間分解イメージング,飛行時間質量分析法などを駆使してクラスター生成メカニズムの解明やサイズ分布の制御手法,高フラックスクラスタービーム生成技術の確立を目指しています。

金属/共有結合クラスター生成装置

高時間分解イメージング

研究成果/研究詳細

慣性静電閉じ込め(IEC)核融合中性子源を産業界で様々な用途に利用するには,中性子発生率(単位時間あたりの中性子発生数)をさらに向上する必要があり,そのための技術開発が最も重要な課題です。中性子源装置内では,様々な種類の粒子(電子,イオン,中性粒子)が行き交い,複雑な相互作用をしています。特に核融合反応率に大きく影響するイオンが装置内のどこでどれくらい発生しているかは,装置の最適設計を行う上でとても重要な情報です。私たちの研究室では,ドップラー分光計測とモンテカルロ数値シミュレーションを組み合わせイオン生成率分布を推定する新しい逆解析手法を開発しました。
IEC装置内で高速に運動する水素原子から放出されるスペクトル線(Hα)は,光のドップラー効果により波長がシフトします(図1)。この性質を利用することで,Hα発光水素原子の速度分布を求めることができます。Hα発光水素原子は装置内のイオンや中性粒子の様々な衝突過程を経て生成されるので,これらの素過程を追跡できるモンテカルロ数値シミュレーションの結果(図2)と実験で観測されるHα線のドップラーシフト分布を比較することで,プロトン(H+)や水素分子イオン(H2+)の生成率分布を逆解析することができます(図3)。
私たちはこの新しい分析手法を用いて,IEC核融合中性子源内部のイオン生成率分布を求めることに世界で初めて成功しました。この手法による粒子挙動の分析を進め,IEC核融合中性子源の性能向上を目指していきます。

研究成果

出版リスト

代表論文:

  1. [1]  Tomonobu Itagaki, Jun Hasegawa, and Eiki Hotta: “Investigation of Ion Generation Rates in an Inertial Electrostatic Confinement Device by Spectroscopy-based Inverse Analysis”, Plasma and Fusion Research, 15, 1206070; https://doi.org/10.1585/pfr.15.1206070 (2020)別窓
  2. [2]  板垣智信,堀田栄喜,長谷川純,高倉啓,田端真之介,松枝泰志,“直線型慣性静電閉じ込め核融合中性子源における放電特性と中性子出力の陽極形状依存性”,電気学会論文誌 A, Vol. 140, No. 9. p.464-472; https://doi.org/10.1541/ieejfms.140.464 (2020).別窓
  3. [3] Yuta Ishikawa, Jun Hasegawa, Kazuhiko Horioka, “Mass separated particle flux from a laser-ablation metal cluster source”, Laser and Particle Beams, 37, 324-331;  https://doi.org/10.1017/S0263034619000594 (2019).別窓
  4. [4]J. Hasegawa, H. Wakabayashi, H. Fujii, M. Tsukamoto, K. Horioka, “Control of a Laser-Produced Dense Plasma Flow by a Divergent Magnetic Field”, AIP Conf. Proc. 2011, 030010-1-030010-3; https://doi.org/10.1063/1.5053271 (2018).別窓
  5. [5] K. Takakura, T. Sako, H. Miyadera, K. Yoshioka, Y. Karino, K. Nakayama, T. Sugita, D. Uematsu, K. Okutomo, J. Hasegawa, T. Kohno, E. Hotta, “Neutron Radiography Using Inertial Electrostatic Confinement (IEC) Fusion”, Plasma and Fusion Research, 13, 2406075; https://doi.org/10.1585/pfr.13.2406075 (2018).別窓
  6. [6] R. Chiba, Y. Ishikawa, J. Hasegawa, K. Horioka, "Time evolution of laser-ablation plumes and induced shock waves in low-pressure gas", Physics of Plasma, 24, 063520; https://doi.org/10.1063/1.4986085 (2017).別窓

教員からのメッセージ

  • 長谷川純准教授より

研究室に所属して研究を始めると,これまで学部で学んできた理工系の様々な知識を実践することが求められます。自分の知識に自信がなくても心配いりません。実践を通じて学び直すことで,皆さんは「本当に使える知識」を身につけることができるはずです。科学研究を楽しみながら,一緒に成長していきましょう!

お問い合わせ先

准教授 長谷川純

E-mail : hasegawa.j.aa@m.titech.ac.jp

この内容は掲載日時点の情報です。最新の研究内容については研究室サイト別窓をご覧ください。

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