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秋田研究室 -研究室紹介 #6-

宇宙の多様な環境を利用した探査システム

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2020.09.10

研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介します。今回は、航空宇宙工学の研究を行う、秋田研究室です。

秋田大輔准教授

地球環境共創コース、エネルギーコース、エンジニアリングデザインコース
研究室:大岡山キャンパス・石川台4号館 206号室
准教授 秋田大輔別窓

構成(2020現在):大学院生 5名、学部生 2名、交換留学生 1名

研究分野 航空宇宙システム / 惑星探査システム / 高速空気力学 /
Webサイト 秋田研究室別窓

研究室のアピールポイント

私たちの研究室では、空気力学を基礎に、主に惑星探査システムや宇宙輸送システムなどについて、遠い未来を想像しながら研究を行っています。特に、一見過酷に見える宇宙の多様な環境をうまく利用したパッシブなシステムに興味を持っています。例えば、宇宙とすぐには結びつかないような、ヨット、バルーン、カイトなどです。研究方法としては、地上実験や数値シミュレーションに加え、JAXAや他大学と協力して実際に人工衛星を手作りして、軌道上での飛行実験も行っています。これまでの延長線上にない新しいアイデアをもとに、大学ならではのワクワクするような魅力的なミッションやシステムを、創造力豊かな若い学生さんたちと開発することを目指しています。

研究テーマ

柔らかな大気圏突入機

宇宙から地上に帰ってきたり、大気のある惑星に着陸するためには、大気圏突入時に流れ星と同じような過酷な高温環境を耐え切らなければいけません。そもそも加熱をあまり受けずに飛行することはできないのでしょうか?例えば、下の写真のように“傘”を広げれば、木の葉が落ちるように、宇宙からゆっくりふわっと帰ってくることが出来るかも知れません。私たちは、他大学やJAXAと協力して、そんな傘のような柔らかな大気圏突入機を開発しています。

maac

太陽風を利用した宇宙ヨット

宇宙空間にも“風”があります。太陽風と呼ばれるプラズマの風です。その風をうまく利用すれば、ヨットが海を進むように宇宙空間を飛行できるかもしれません。宇宙の大海原を旅するには、大量の燃料を積んでいくのではなく、ヨットのようにその場にあるエネルギーや資源を利用することが重要です。500年前、コロンブスが帆船に乗って未知の大西洋を航海したように、私たちが宇宙ヨットに乗って太陽系の外へ飛び立つ日が来るかもしれません。

magsail

惑星バルーン&惑星カイト

惑星を探査するとき、人工衛星からでは惑星を詳しく観測することはできません。一方、着陸機では惑星の広い範囲を探査することが難しくなります。バルーンやカイトであれば、惑星を比較的近くから広範囲にわたって調べることができます。しかも、飛行機とは違って、燃料や電力は全く必要なく長時間飛行可能です。太陽系の惑星や衛星の中には、地球よりも濃い大気を持つ天体や強い風が吹く天体があり、そこでは地球よりも簡単にバルーンを浮かべたり、カイトを飛ばすことができるかもしれません。

惑星バルーン

惑星カイト

燃料もプロペラも必要ない推進システム

空を飛ぶためには、普通は飛行機のように燃料を吹くか、ドローンのようにプロペラを回す必要があります。しかし、EHDスラスタは、下の写真のように銅線とアルミホイルのような簡単な電極に、高電圧を印加するだけで推力を発生することができます。ただし、欠点は発生できる推力が弱いことです。私たちは、この軽量でシンプルなEHDスラスタを惑星探査に応用することを想定し、基本的な特性や推力を向上させる方法などについて研究しています。

EHDスラスタ

出版リスト

代表論文

  1. [1] Daisuke AKITA, Yoshitaka SAITO, Ken GOTO, Kyoichi NAKASHINO, Takuma MATSUO, Kiyoho MATSUSHIMA, Shigeyuki SHIMADU, “Development of a New Super-Pressure Balloon with a Net for High-Altitude and Long-Duration Flights”, Transactions of The Japan Society for Aeronautical and Space Science, Aerospace Technology Japan, 16(6), pp.470-475, 2018 DOI: 10.2322/tastj.16.470別窓
  2. [2] Kazuhiko Yamada, Yasunori Nagata, Takashi Abe, Kojiro Suzuki, Osamu Imamura, Daisuke Akita, “Suborbital Reentry Demonstration of Inflatable Flare-type Thin-membrane Aeroshell using a Sounding Rocket”, Journal of Spacecraft and Rockets, 52(1), pp.275-284, 2015  DOI: 10.2514/1.A32807別窓
  3. [3] Daisuke Akita, “Feasibility study of a sea-anchored stratospheric balloon for long-duration flights”, Advances in Space Research, 50(4), pp. 508-515, 2012.  DOI: 10.1016/j.asr.2012.05.002別窓

教員からのメッセージ

  • 秋田大輔准教授より

真面目な研究を不真面目にやるのはダメですが、不真面目な研究を真面目にやりたい人を歓迎します。

お問い合わせ先

准教授 秋田大輔

E-mail : akita@ide.titech.ac.jp

この内容は掲載日時点の情報です。最新の研究内容については研究室サイト別窓をご覧ください。

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