物理学系 News&Information
量子力学と統計力学で計算する
物理学は、自然界に起きるさまざまな現象の中に法則性を見い出し、それを体系化していく学問です。その対象は、素粒子、原子核という極微のスケールから始まり、多彩な構造や性質をもつ原子レベルの物理、さらに我々を取り巻く宇宙まで、あらゆるものを対象にしています。物理学系の研究室では、そのほとんどすべての領域をカバーし、世界をリードする最先端の研究が行われています。
研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、量子力学と統計力学で計算する、西森研究室です。
量子アニーリングを中心とする量子コンピューティングや量子相転移の理論的研究をしています。量子力学や統計力学といった物理の基本的な学問体系の知識が量子コンピュータという大きな社会的影響力を持つ装置の開発に直接結びつく、大変エキサイティングな分野です。
量子力学を用いた組み合わせ最適化問題の解法として量子アニーリングが注目を集めています。量子アニーリングは本研究室が1998年に提案した方式で、このア イディアに基づいてカナダのベンチャー企業D-Wave SystemsやGoogleが量子コンピュータの一種である量子アニーリングマシンを製造しています。1台15億円と言われるD-Waveマシンは数台がすでにアメリカの企業や研究所に設置され、それらを使った研究が大きな進展を見せています。
本研究室では、量子力学および統計力学を用いて量子アニーリングの基礎を研究しています。また、量子アニーリングと密接に関連した量子相転移やスピングラスの理論の研究も行っています。
教授 西森秀稔
E-mail : nishimori@phys.titech.ac.jp
※この内容は掲載日時点の情報です。最新の研究内容については研究室サイトをご覧ください。