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西森研究室 ―研究室紹介 #1―

量子力学と統計力学で計算する

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2016.07.13

物理学は、自然界に起きるさまざまな現象の中に法則性を見い出し、それを体系化していく学問です。その対象は、素粒子、原子核という極微のスケールから始まり、多彩な構造や性質をもつ原子レベルの物理、さらに我々を取り巻く宇宙まで、あらゆるものを対象にしています。物理学系の研究室では、そのほとんどすべての領域をカバーし、世界をリードする最先端の研究が行われています。

研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、量子力学と統計力学で計算する、西森研究室です。

西森秀稔教授

研究テーマ
量子アニーリング、量子相転移、スピングラスの理論などを研究しています。
Webサイト
西森研究室別窓
研究者詳細情報(STAR Search) - 西森秀稔別窓

研究内容

量子アニーリングを中心とする量子コンピューティングや量子相転移の理論的研究をしています。量子力学や統計力学といった物理の基本的な学問体系の知識が量子コンピュータという大きな社会的影響力を持つ装置の開発に直接結びつく、大変エキサイティングな分野です。

Courtesy of D-Wave Systems

Courtesy of D-Wave Systems

Courtesy of D-Wave Systems

研究詳細

量子力学を用いた組み合わせ最適化問題の解法として量子アニーリングが注目を集めています。量子アニーリングは本研究室が1998年に提案した方式で、このア イディアに基づいてカナダのベンチャー企業D-Wave SystemsやGoogleが量子コンピュータの一種である量子アニーリングマシンを製造しています。1台15億円と言われるD-Waveマシンは数台がすでにアメリカの企業や研究所に設置され、それらを使った研究が大きな進展を見せています。

本研究室では、量子力学および統計力学を用いて量子アニーリングの基礎を研究しています。また、量子アニーリングと密接に関連した量子相転移やスピングラスの理論の研究も行っています。

学生に一言

西森先生より
量子アニーリングという研究分野を開拓した研究室です。発表から10年くらいの間はほとんど注目を集めなかったのですが、2010年頃に私たちの理論通りに設計されたD-Waveマシンが商用化され、Google、NASA、ロスアラモス国立研究所などが導入するなど社会的に大きな注目を集めています。
流行を追うのではなく、まだ誰も気づいてないが重要な問題を見いだし、他人の評価に右往左往するのではなく自らの信念に基づいてそれを徹底的に研究していく姿勢が重要です。NatureやScienceといった短期的なインパクトを重視する雑誌には研究成果を発表しない方針です。

メンバー紹介

  • 助教:高橋和孝
  • 博士研究員:須佐友紀
  • 修士課程:奥山真佳、高田珠武己、西村光嗣
  • 4年生:大木俊幸、大桑雅己

お問い合わせ先

教授 西森秀稔
E-mail : nishimori@phys.titech.ac.jp

※この内容は掲載日時点の情報です。最新の研究内容については研究室サイト別窓をご覧ください。

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