未来

光という軸で、世の中に貢献する技術を

富士フイルム株式会社
R&D統括本部 先端コア技術研究所

吉弘 達矢 さん

吉弘 達矢さん

現在の仕事について教えてください。
光学基盤技術グループの一員として、ナノ構造を利用したデジタルカメラレンズ用反射防止膜の研究に取り組んでおり、原理的なシミュレーションから現場のものづくりまで、広い範囲に携わっています。富士フイルムの事業分野には写真技術が大きな影響を与えており、「光」と様々な形で関わっているものが多くあります。事業の枠を越え「光」を軸として、基盤となる技術や、そこから派生する新規コア技術を構築していくのがグループとしての仕事です。私にとっては学生時代の研究とは全く異なるテーマに取り組んでいますが、根底にある「光」という軸は一貫しています。光の魅力と奥の深さに日々驚かされながら研究に取り組んでいます。
東工大での経験や学びは、いまの仕事にどう活きていますか?
研究室で学び、得た知識と経験が、光に関わる研究者としての基礎を形作ったと思います。私は在学時、物性物理学専攻の松下道雄先生にご指導頂き、単一希土類イオンの発光検出に向けた研究を行ってきました。研究を進める中で、光とはどういうものか、何ができるのか、どうすれば作りだせるのか、測定できるのか、といったことを学びました。大学時代の講義で得た基礎知識と、研究室で得た光学技術に関する専門知識は、一人の研究者として拠って立つべき、ものの見方の基準を与えてくれたように思います。
今後の目標を教えてください。
企業研究者という視点から、世の中をさらに向上させていくような技術を創り出し、商品として送り出していくことです。基盤技術構築と商品化研究を経て、研究者が手がけた技術が商品として日の目を見ることは決して容易なことではありません。一方で、ディスプレイ、デジタルカメラや医療機器、太陽電池など、光は我々の生活の様々な場面に密接に関わっています。そのような場面で新たな技術を用いた商品を作ることができれば、今までの価値を大きく変えるものになると信じています。時にはチームの力を借りながら、私が思う「光が役に立つ世界」を現実のものにし、世の中に貢献していければと思います。
最後に、東工大を目指す人に一言お願いします。
大学時代は、自分がしたい勉強や研究ができる大変貴重なチャンスです。将来、進学や就職などでその専門が変わることがあったとしても、大学で学び、経験したこと全てはその人の礎として活き続けるものだと思います。私も当時は回り道に感じることがありましたが、いま振り返れば無駄どころか絶対に必要なことだったと改めて気づかされます。悩むことや遊ぶことも含め、充実した大学生活を送れるよう、応援しています。

よしひろ・たつや(神奈川県出身)

2002年
東京工業大学 第1類 入学
2007年
東京工業大学 理学部物理学科 卒業
2009年
東京工業大学 大学院理工学研究科物性物理学専攻 修士課程修了
2009年
富士フイルム株式会社 勤務

※記事の内容は取材当時のものです

ページのトップへ

CLOSE

※ 東工大の教育に関連するWebサイトの構成です。

CLOSE