未来

新たな「1秒」の時代をひらく光格子時計

国立研究開発法人産業技術総合研究所
計量標準総合センター 物理計測標準研究部門 時間標準研究グループ
主任研究員

赤松 大輔 さん

赤松 大輔さん

現在の仕事について教えてください。
様々な量の単位(1mとか1秒とか1Aとか)の標準を研究開発・維持管理している国の研究機関で働いています。特に、次世代の「秒」の定義の候補である光格子時計の研究・開発を行っています。光格子時計は日本初の技術であり、産総研でも世界に先駆けてYb光格子時計の開発に成功しました。私は、新たにもう一台の光格子時計を立ち上げ、現在の標準器の性能を超えた精度での周波数比測定や光格子時計のさらなる性能向上に関する研究などを行っています。
東工大での経験や学びは、いまの仕事にどう活きていますか?
東工大では、量子情報に関する実験を行っていました。光格子時計に必要なレーザー技術などは大学院での研究を通じて学ぶことができました。私は運よく研究室の立ち上げに立ち会う事が出来、何もない部屋に実験装置を一から作り上げていく経験をすることができました。産総研でも光格子時計を一から立ち上げる必要があり、その時の経験が大いに役立ちました。また、在学中には様々な研究会に参加させていただき、多くの友人を作ることができました。研究に詰まった時など、気軽に相談に乗ってくれる友人はもっとも大切な財産です。
今後の目標を教えてください。
今後も、光格子時計の性能向上に関する研究を行い、新たな秒の定義として採択されるように研究分野の発展に貢献していきたいです。さらに、光格子時計を用いた応用研究(ジオイド面の測定や微細構造定数の恒常性の検証等)にも興味があります。一方で、全く新たな研究にも挑戦していきたいと思っています。東工大で学んだ知識や技術は広く応用がきくので、全く新しい研究分野に飛び込み、そこで自分の経験と知識を生かし、新たな分野を生み出したいと(密かに)目論んでいます。
最後に、東工大を目指す人に一言お願いします。
私の場合、9年間東工大に在籍しましたが、最初の3年間はほとんど学外における"社会勉強"に費やしてしまいました。その後の6年間の多くの時間は学内で過ごし、学問に時間を費やすことができました。もう少し効率的な社会勉強はあったかもしれませんが、結果的にはどちらも重要な勉強であったと思っています。受験勉強を乗り越え、充実したキャンパスライフを送ってください。

あかまつ・だいすけ(埼玉県出身)

1998年
東京工業大学 第1類 入学
2002年
東京工業大学 理学部物理学科 卒業
2004年
東京工業大学 大学院理工学研究科物性物理学専攻 修士課程修了
2007年
東京工業大学 大学院理工学研究科物性物理学専攻 博士後期課程修了
2007年
東京大学 工学部物理工学科 日本学術振興会特別研究員(ポストドクター)
2009年
独立行政法人産業技術総合研究所 入所
2015年
国立研究開発法人産業技術総合研究所に改名

※記事の内容は取材当時のものです

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