未来

レーザーパルス光で解き明かす物質の超高速な状態変化

京都大学
化学研究所 助教

田原 弘量 さん

田原 弘量さん

現在の仕事について教えてください。
レーザーパルス光を用いて、フェムト秒からピコ秒(1,000兆分の1~1兆分の1秒)という非常に短い時間に起きる物質の状態変化を研究しています。この短い時間内では、物質が光を当てる前とは異なる状態になり、光の吸収率や反射率に一瞬の変化が起きます。この変化を捉えることで、物質中で電子がどのような状態にあるのかを調べ、ナノ材料や太陽電池材料において光機能が発現するメカニズムを研究しています。世界中の誰も正解を知らないことに挑み、仮説を立てることと検証することを繰り返しながら、基礎科学や応用において重要な光物性を解明しています。
東工大での経験や学びは、いまの仕事にどう活きていますか?
好きなだけ研究に没頭できた学生時代は、研究者としての基礎を学びました。試行錯誤しながら自分の手で1つずつメカニズムを解き明かしていく過程は、うまくいくときもあれば苦しいときもありました。しかし、すべての実験結果が1つにつながったときの感覚は、今でも忘れられない貴重な経験でした。研究の醍醐味を学んだからこそ、いまの仕事があります。実験装置を自由に使わせていただいた研究環境、そして何度でも議論にお付き合いくださった先生、先輩、後輩の方々に感謝しています。
今後の目標を教えてください。
発光ダイオードや光ファイバー通信に代表されるように、光技術は現代の生活に欠かせないものになっています。この光技術を飛躍的に進展させる画期的な光機能のメカニズムを解明することが目標です。物質が持つ性質(光学的、電気的、磁気的などの性質)をレーザーパルス光によって変化させる研究を行っているので、これらの性質を自由に付け替える方法を開発し、役に立つ光機能を明らかにしたいです。そして、研究者としてまだまだ駆け出しではありますが、いつの日かこの分野は自分が切り拓いたと言える新しい研究分野を創りたいです。
最後に、東工大を目指す人に一言お願いします。
大学時代は自由な時間がたくさんあるので、興味のあることにとことん時間を使ってほしいです。自分の長所を伸ばす大切な時期であり、何かに全力で取り組んだという経験は自信になります。また、大学での勉強に限らず、いろんなことに挑戦してほしいです。自分に合うことも合わないことも両方試す中で、何を考えて何をしたのかということが後々自分のためになります。すばらしい大学生活が待っていますので、がんばってください。

たはら・ひろかず(千葉県出身)

2005年
東京工業大学 第1類 入学
2009年
東京工業大学 理学部物理学科 卒業
2010年
東京工業大学 大学院理工学研究科物性物理学専攻 修士課程修了
2013年
東京工業大学 大学院理工学研究科物性物理学専攻 博士課程修了
2013年
東京工業大学 大学院理工学研究科物性物理学専攻 日本学術振興会特別研究員(ポストドクター)
2014年
京都大学 化学研究所 日本学術振興会特別研究員(ポストドクター)
2015年
京都大学 化学研究所 助教

※記事の内容は取材当時のものです

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