未来

物理学という巨人に、全身全霊で挑む

山形大学
理学部 准教授

衛藤 稔 さん

衛藤 稔さん

現在の仕事について教えてください。
山形大学で研究と教育に携わっています。学生時代に足を踏み入れた素粒子理論物理学を中心に、現在では周辺分野(宇宙物理・物性物理・原子核物理・数理物理)に徐々に研究の裾野を広げつつ、目に見えない小さな世界から全体像を把握するのが難しいほど大きい宇宙まで、私たちが生きる自然界の成り立ちをより深く理解することを目標に、「位相的(トポロジカル)ソリトン」を主題に研究をしています。研究の喜びは、予想もしなかった事象との出会い、美しい方程式や解との出会い、世界で最初に何かを発見することの高揚感など様々です。もちろん辛いことも多々ありますが、好きなことを続けさせてもらえていることに日々感謝しています。
東工大での経験や学びは、いまの仕事にどう活きていますか?
私は20代の殆どを東工大で過ごしました。片道1時間、暑い日も寒い日も、満員電車に耐える日々はかなり辛いものでした。それでも通い続けたのはそこに私の居場所があったからだと思います。特に大学院生になってからは、それまでとは比較にならない程難しいことを、英語の教科書や研究論文を通じて学ばなければなりませんでした。将来に対する大きな不安を拭いきれないまま、鬼気迫る勢いで勉強や研究に打ち込んだのを覚えています。そんな日々を支えてくれたのは同じ環境で同じ志を持った研究室の仲間です。良き先生や先輩・同僚・後輩に恵まれ、その中で鍛えた「物事の本質を理解しようとする姿勢」は今でも研究を続ける上で欠かせません。
今後の目標を教えてください。
物理学は偉大な先達が築き上げてきた巨大で精緻な建造物です。この建造物はまだ未完成ですが、世界中の研究者の日々の努力によって少しづつ進化しています。私は研究者としてはまだまだ未熟で、今はまだ隅っこに住まわしてもらっている居候にすぎませんが、もちろんまだまだやれると自分に期待しています。もっともっと色々なことに興味を持って研究の幅を広げ、物理学という建築物を少しでも進化させて、私たちが生きるこの宇宙の自然法則をトコトン理解したいと思っています。自然はまだまだ分からないことで満ちています。わくわくする気持ちを忘れずにいつまでも楽しんで研究を続けていきたいです。
最後に、東工大を目指す人に一言お願いします。
誰でもいつか仕事を選択するときがきます。そのとき、自分が一生を捧げても良いという何かを見つけることが出来、更にそれを選択することが許されたとしたら、それはとても幸運なことでしょう。東工大は、その何かを探すのに、そしてそれを選択する準備をするために最適な場所だと思います。優れた教員と最先端の施設があなたの好奇心を大いに刺激してくれるに違いありません。東工大であなたの夢を実現させてください!

えとう・みのる(神奈川県出身)

1997年
東京工業大学 第1類 入学
2001年
東京工業大学 理学部物理学科 卒業
2003年
東京工業大学 大学院理工学研究科基礎物理学専攻 修士課程修了
2006年
東京工業大学 大学院理工学研究科基礎物理学専攻 博士後期課程修了

※記事の内容は取材当時のものです

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