材料系 News
高い機能をもった新規無機機能材料の創成
材料系では「金属」「有機材料」「無機材料」の3つの分野にフォーカスし、独創的かつ挑戦的な研究・開発を推進しています。
研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、高い機能をもった新規無機機能材料の創成を目指す、舟窪研究室です。
無機材料分野
材料コース
研究室:すずかけ台キャンパス・J2棟1508号室
教授 舟窪浩
研究分野 | 機能性無機薄膜 / 強誘電体 / CVD / 無機 |
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キーワード | グリーンエネルギー材料、元素戦略、強誘電体・圧電体、電子材料 |
Webサイト | 舟窪研究室 舟窪浩 - 研究者詳細情報(STAR Search) |
電子およびエネルギーデバイスでは“新材料の時代”がやってきています。我々は“単に高機能なだけでなく、環境低負荷であることが不可欠”との信念から、新しい環境適応型の“グリーン材料”の創成を目指しています。
我々のグループは、特性発現に不可欠と考えられてきた環境汚染元素を含まない“グリーン圧電体”を世界に先駆けて発見しました。(図1)現在、アクチュエータや超音波健康診断装置等、幅広い用途で用いられる圧電体は、有害な元素を多く含んでいるため、その代替材料の開発が迫られています。十分な特性を有する代替材料の開発に成功すれば、体内のセンサ等といった医療エレクトロニクス用途に展開することが可能であり、様々な分野へ貢献できる可能性を秘めています。現在も、様々なアプローチからこの“グリーン圧電体”の開発に取り組んでいます。
強誘電体メモリーはUSBメモリーのように電源を切ってもデーターが保存でき、USBメモリーより高速で動作できることから“夢のメモリー”としてICカードなどで実用化されています。しかし多くの情報を入力して管理することを可能にする大容量のメモリーは現在までできていません。これを実現させるためには、非常に薄い強誘電体膜が必要不可欠になるのですが、薄くすると特性が著しく低下するサイズ効果の影響により、この問題は過去50年以上にわたって解決されていません。我々のグループは、薄膜化するほど強誘電性が向上する“逆サイズ効果”をもつ物質を利用し、15 nmまで薄くても特性が劣化しない強誘電体単結晶膜の作製に世界で初めて成功しました。(図2)これからも、この“夢のメモリー”の実現を目指し、研究に取り組んでいきます。
環境のどこにもある“振動”を発電に使い、トンネル内で発電とセンシングを同時に行う“バッテリーレススマートセンサー”の研究に取り組んでいます。
身の回りの廃熱を利用して発電するための“熱電材料”の開発を行なっています。MgやSiなど毒性が無く地球上に豊富に存在する“ユビキタス元素”を用いて高い発電効率を実現することを目指しています。
本研究室では、作る、測る、考えるという一連の研究のプロセスを一貫して行うことができ、そのための十分な設備が整っています。SPring-8等(図3)外部の研究機関や海外研究者と連携し、研究を行うことができ、実際にその経験を積むことが出来ます。また、他大学との勉強会(図4)や学会発表(図5)も行っており、また旅行などのアクティビティ(図6)も積極的に行っています。見学はいつでも可能です。是非一度お越しください。
材料系の全研究室を紹介したパンフレットは広報誌ページでご覧いただけます。
教授 舟窪浩
E-mail : funakubo.h.aa@m.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5446
※この内容は2016年4月発行の材料系 無機材料分野パンフレットによります。最新の研究内容については各研究室にお問合せください。