未来

未来の世代に豊かな環境を残せるように

株式会社東芝
研究開発センター 機能材料ラボラトリー 研究主務

堀内 陽介 さん

堀内 陽介さん

現在の仕事について教えてください。
電気メーカーで高効率モータ用磁石の研究開発を行っています。電気自動車やハイブリッド自動車のモータには、現在、供給リスクが不安視されている希少元素を使った磁石が使用されています。私は磁性材料グループに所属し、希少な元素を使わずとも強力な磁力を示す新しい磁石材料の開発を行っています。私が開発してる磁石は金属でできており、ナノからマクロまで幅広いスケールで金属組織制御を行うことで磁石の性能を引き出すことができます。私はラボでの実証から製造現場での量産化まで携わっているのですが、やはり自分が開発した材料が実際に製品となり、世に出ていくのを見届けるのが材料研究の一番の醍醐味だと感じています。
東工大での経験や学びは、いまの仕事にどう活きていますか?
研究室では「とにかくやりぬくこと」「自分なりに考えること」という2つのことの大切さを学びました。私は博士後期課程からの編入という形で研究室に入ったため、はじめは指導教員の細田先生に徹底的に指導して頂きながら与えられたテーマに昼夜なく取り組みました。そんなある日、ふと「こんなことをやってみたらいいのでは?」と思い実験したところ、その後の私の研究方針を決定づける重要な結果が得られました。結果を見た瞬間の喜びは今でも忘れません。この発見は偶然ではなく、たとえ始めは与えられたものであっても、それをやりぬき、そこから自分で考え抜いた結果だと思います。このことは会社での仕事にも共通することがあると感じます。
今後の目標を教えてください。
環境問題、エネルギー問題の解決に貢献できる仕事に携わって行きたいと思います。現在取り組んでいるモータ用磁石の開発も、モータの高効率化による省エネへの貢献といった意味でエネルギー問題解決の一助にはなっているかと思いますが、今後は再生可能エネルギーや未利用エネルギーをもっと積極的に活用するためにキーとなる材料の研究開発にも取り組みたいと思います。私達の子供、孫達の世代も快適で豊かな生活を送れるよう、社会インフラにイノベーションを起こすような仕事をしたいと思います。
最後に、東工大を目指す人に一言お願いします。
人との出会いは突然やってくることが多いですが、私はそんな出会いの一つ一つを大切にするようにしています。大学時代には研究室だけでなく、学会等で色々な人に出会う機会がありました。しばらく音信不通だったりもするのですが、会社に入ってから偶然また繋がることもよくあります。東工大は自分のやりたい研究に没頭できる環境にありますが、没頭しつつも視界を広く持つことで新しい発想とめぐり会う機会が増えると思います。

ほりうち・ようすけ(神奈川県出身)

2004年
東京工業大学 大学院総合理工学研究科物質科学創造専攻 博士後期課程入学
2007年
東京工業大学 大学院総合理工学研究科物質科学創造専攻 博士後期課程修了
2007年
株式会社東芝 入社

※記事の内容は取材当時のものです

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