リベラルアーツ研究教育院 News
2月21日、東工大リベラルアーツ研究教育院は、大岡山キャンパス東工大蔵前会館にて、大岡山駅上にある東急病院との共催で「第5回大岡山健康講座※」を開催しました。当日は150名を超える多くの方が参加しました。
東急病院 大森俊行 整形外科医長
膝について講演する大森医長
形性膝関節症を中心に、膝の痛みについて話がありました。加齢に伴って起こることの多い変形性膝関節症は、体重に比べて筋力が低下すると起こりやすいことが知られています。そのため、肥満の方や、男性に比べて筋力の低くなりがちな女性は要注意です。初期では立ち上がりや歩きはじめなど動作の開始時に痛みます。中期では階段昇り降りが困難になり、末期では脚の変形が著しく、安静時にも痛みがとれなくなります。これらの事例が、普段は見ることのできない症例を交えて紹介されました。
予防には、膝を支える筋力維持が必要であることや、その手段として、浮力を利用して体重の負荷を減じることができるプール内歩行などが紹介されました。治療法についても、写真を交えて分かりやすく紹介されました。
東急スポーツシステム株式会社 山城智幸インストラクター
グーとパーの運動を実演する山城インストラクター
山城インストラクターが実技を中心に説明しました。手のグーパーを組み合わせただけなのに難しい運動の紹介を始め、様々な筋力トレーニングが紹介されました。「眉間にしわを寄せない程度で」との掛け声に、参加者は笑いながらも真剣に運動に取り組んでいました。
リベラルアーツ研究教育院 林直亨教授
林教授が、予め集められた127の質問やコメントに答える形で講演しました。そのうち、40通近くのコメントが膝痛に関するものであり、60通近くのコメントが運動に関するものであることから、この2点に配慮した話がなされました。健康には、運動・休養・栄養に配慮する必要があるとの観点から、適切な運動やストレッチ、トレーニング、マッサージの具体的な方法や注意すべき点が説明されました。
最近の研究では、座る時間が長いことが死亡率や心臓疾患に関連することが明らかにされています。テレビ視聴のために1時間座位行動を続けるごとに、平均余命が22分間短くなるとの統計も紹介され、軽い運動であっても重要であることが説明されました。最後に、むだ・むら・むりをしない「だらりの法則」が健康にも適用できることが紹介され、少しでも日常生活に運動を取り入れるように呼びかけました。
東急病院の母体である東京急行電鉄株式会社(以下、東急電鉄)は、2015年3月に従業員の健康管理を行う優良企業として経済産業省と東京証券取引所より「健康経営銘柄」に選定されました。それに伴い、東急病院のある大岡山駅周辺を「健康ステーション大岡山」と称し、健康の発信拠点として、さまざまな取り組みを実施しています。東工大も、リベラルアーツ研究教育院の林直亨教授の監修のもと、健康啓発ポスターの作成や、工大祭でのウォーキングイベントの開催に取り組んできました。 本講座も、この取り組みの一環として開催されています。