化学系 News
東京工業大学は、東京大学、東北大学、京都大学と共同で、フランスの国立科学研究センター(CNRS)並びにフランスの4大学(レンヌ第1大学、ナント大学、ベルサイユ大学、メーヌ大学(ル・マン))と合同で、新しい国際共同研究所(LIA)開設のための協定に調印しました(大学側取りまとめ担当はレンヌ第1大学と東京大学)。2016年12月12日の夕刻に東京の駐日フランス大使公邸において、ティエリー・ダナ駐日フランス大使、CNRS物理部門総責任者のニール・ケラー教授立ち合いのもと、三島良直学長(出張のため事前に署名)、安藤真理事・副学長(研究担当)、岡田哲男理学院長(理学院化学系担当)が署名をしました。
※国際共同研究所(LIA IM-LED):The International Associated Laboratory "Impacting materials with light and electric fields and watching real time dynamics"の略。超短光パルスや電場に対する新しい物質の応答を開拓するとともにその評価システムの開発も行う研究所。
この新形態の国際連携研究所では、日仏の8大学の研究者がCNRSの仲立ちのもと密接に協力していきます。目的は、超高速光パルスと電場(テラヘルツ光など)に応答する新しい機能物質の開拓、並びにそのために必要不可欠である、超高速で発生する物性変化を評価するための新手法を開発する、という2点です。本学からは、理学院の腰原伸也教授(理学院化学系担当、科学技術創成研究院兼務)、沖本洋一准教授、石川忠彦助教(共に理学院化学系担当)、馬ノ段月果さん(理学院 化学系 博士後期課程1年/腰原・沖本研究室)、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)の恩田健研究員(本学 理学国際教育研究流動機構 流動研究員)が参加しています。
調印式に先立ち、午後に駐日フランス大使館ホールで記念シンポジウムが開催されました。駐日フランス大使館のジャック・マルヴァル科学技術参事官から、本協定とそれに基づく新しい形の国際共同研究所への期待が述べられ、その後大学側取りまとめ役(日本側:東京大学の大越慎一教授、フランス側:レンヌ第1大学のエリック・コレ教授)並びに各大学担当者から、本協定に至る歴史的経緯や詳細な学術内容の紹介が行われました。東工大からは腰原教授が、高効率・超高速光情報制御や、光エネルギー変換過程の観測に関する、プロジェクトの研究目標を中心とした研究概要のプレゼンテーションを行いました。
また、参加大学の副学長からそれぞれの大学の特色が紹介されるなど、クリスマスの華やかな飾りがきらめく和やかな雰囲気の中でシンポジウムが進められました。その中で、この協定の源となる日仏大学間協定が、20有余年前に、ポーランドのブロツワフ工科大学のタデウシュ・ミハエル・ルーティー教授(当時。現名誉教授・元学長)の仲立ちで、本学の腰原教授とレンヌ第1大学のヘルベ・カイヨ教授(当時。現名誉教授)の間で始まったという話題が出ました。その後この交流が、他の多くの分野の学内外関係者の協力によって、全学交流協定やエラスムスプログラム(MaMaSELF:Master in material science exploring large scale facilities(大規模研究施設を用いた物質科学分野研究に携わる修士課程人材育成プログラム))の一部参加へと発展した経緯が、レンヌ第1大学のコレ教授から紹介されました。
調印式に引き続き、大使公邸で大使主催の盛大な祝賀カクテルパーティーが開催され、参加者の間では、今後の共同研究、日仏の大学文化の差異、今後の国際協力の進め方など、有意義な議論が夜更けまで行われました。
CNRS東京支部のセシル・浅沼-ブレス代表(一番左)、フランス大使館科学技術参事官のマルヴァル博士(右から2番目)、フランス側大学とりまとめ役のレンヌ第一大学コレ教授(一番右)ら
本協定の礎を築いてきたメンバー:左から東工大の森健彦教授、CNRSのケラー物理部門総責任者、東工大の榎敏明名誉教授、レンヌ第1大学のカイヨ名誉教授