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化学系の 八島 正知 教授、村上 泰斗 特任助教(研究当時) らのグループが新型プロトン伝導体を発見し、高いプロトン伝導度のメカニズムを解明

燃料電池やセンサーの発展に向けた材料開発を加速

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2022.12.22

α-Ba2ScAlO5、β-Ba2ScAlO5、BaAl2O4の結晶構造の比較

α-Ba2ScAlO5、β-Ba2ScAlO5、BaAl2O4の結晶構造の比較

概要

東京工業大学 理学院 化学系の村上泰斗特任助教(研究当時)、八島正知教授、および豪州原子力科学技術機構(ANSTO)のアブディーフ・マキシム(Avdeev Maxim)博士(研究当時は東京工業大学客員研究員兼務)らの研究グループは、中低温域で高いプロトン(H+、水素イオン)伝導度を示す新材料β-Ba2ScAlO5を発見した。さらに第一原理分子動力学シミュレーションを行い、この新材料のプロトン伝導メカニズムを明らかにした。

現在実用化されている固体酸化物形燃料電池(SOFC)は動作温度が高いため、低コスト化と用途拡大のために中低温域(300~600℃)で高いプロトン伝導度を示す材料が求められている。従来の候補材料であるペロブスカイト型プロトン伝導体では、高い伝導度を実現するために化学置換が必要であり、安定性や高純度試料の合成に難があった。一方、六方ペロブスカイト関連酸化物は近年、化学置換を行うことなく高いプロトン伝導度を示す新材料として注目されているが、その伝導メカニズムはよく分かっていなかった。

今回、六方ペロブスカイト関連酸化物β-Ba2ScAlO5が化学置換なしでも高いプロトン伝導度を示すことを見出した。さらにこの新材料が示す、「結晶構造における二種類の層の両方がプロトン伝導に重要な役割を担う」という新しいプロトン伝導メカニズムを明らかにした。今後、この全く新しいメカニズムに基づくプロトン伝導体の設計が可能になり、新型プロトン伝導体開発の一層の進展が期待される。

本研究成果は、2022年12月19日に国際学術誌「Advanced Functional Materials」電子版に掲載された。詳しくは東工大ニュースをご覧ください。

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