未来

世界の構造をかえる人工光合成技術に挑む

株式会社豊田中央研究所
森川特別研究室 研究員

佐藤 俊介 さん

佐藤 俊介さん

現在の仕事について教えてください。
車関連の研究所に就職をしましたが、私が所属する部署は車に関連する研究ではなく、次を見据えた研究を行っています。具体的な研究内容は、水と二酸化炭素と太陽光のみで、有機物を作り出す人工光合成技術です。非常に難しい技術ですが、実用化した場合は波及効果が大きいと研究を進めています。幸いにも研究は順調に進展し、2011年には新聞各紙に我々の研究内容が掲載されました。現在では、太陽光を利用する効率は、稲や小麦など植物による光合成の理論限界効率と匹敵する性能を持った人工光合成デバイスの開発に成功しています。
東工大での経験や学びは、いまの仕事にどう活きていますか?
「研究は、がんばりましたで許される世界ではない。結果がすべてや」と、学生時代に先生に言われたことは、今でも覚えています。研究の世界は競争社会であり、結果を出し続けないと生き残れないのが現実です。従って、研究者が結果を出し続けることは当たり前のことですが、その意識を持っているかいないかは大きな差になると感じています。私自身、特別に能力が優れているわけではないですが、研究者として最前線に立っていられるのは、やはり学生時代に研究者としての基礎および意識をしっかり叩き込まれたことにあると思います。
今後の目標を教えてください。
どうせやるなら世界の構造を変化させてしまうような大きい研究をやりたいと考えています。例えば、現在行っている研究です。この研究がうまくいけば、社会における化石燃料の依存度を低下させることができます。非常に高いハードルは多数ありますが、なんとか実用化にまで至ればと思っています。また、現在行っている研究以外にも、新しい概念や新しい触媒の研究を進めていきたいと考えています。
最後に、東工大を目指す人に一言お願いします。
東工大の環境から離れて初めてわかりましたが、化学系に所属する研究室は、activityが非常に高いと思います。また、研究環境も大変恵まれており(実験設備・閲覧できる電子ジャーナルの数など)、研究者を目指すのであれば、東工大の化学系における経験は必ずプラスになると思います。

さとう・しゅんすけ(埼玉県出身)

2002年
東京工業大学 大学院理工学研究科化学専攻 入学
2004年
東京工業大学 大学院理工学研究科化学専攻 修士課程修了
2007年
東京工業大学 大学院理工学研究科化学専攻 博士後期課程修了
2007年
株式会社豊田中央研究所 入社
2011年
科学技術振興機構(JST)さきがけ「光エネルギーと物質変換」領域 研究員兼任

※記事の内容は取材当時のものです

ページのトップへ

CLOSE

※ 東工大の教育に関連するWebサイトの構成です。

CLOSE